自己破産は、弁護士に依頼しなくても自分で申し立てることができます。破産の申立ては、本人が住所地などを管轄する地方裁判所に行う裁判手続であり、法律上、必ず弁護士を代理人にしなければならないわけではありません。
ただし、自己破産で大切なのは「申立書を出すこと」だけではありません。最終的には、免責許可を受けて借金の支払義務を免れることが重要です。本人申立てでは、必要書類の準備、債権者一覧表や財産目録の作成、裁判所からの補正対応、面接・審尋、管財事件になった場合の対応まで、自分で進める必要があります。
この記事では、自己破産を自分でできるか、本人申立ての費用と流れ、弁護士なしで進める失敗リスク、司法書士との違い、弁護士に相談すべきケースを整理します。
- 自己破産は自分で申立てできますが、免責まで自動的に進むわけではありません
- 本人申立てでは弁護士費用を抑えられる一方、書類作成・補正・出頭対応の負担が大きくなります
- 管財事件になると予納金が必要になり、本人申立てが必ず安くなるとは限りません
- 財産、事業、浪費・ギャンブル、債権者漏れ、2回目の自己破産がある場合は専門家相談が重要です
- 「成功率」の公的な一律データで判断するのではなく、事案の内容と資料の正確性で見通しを考えます
坂尾陽弁護士
2009年 京都大学法学部卒業
2011年 京都大学法科大学院修了
2011年 司法試験合格
2012年~2016年 森・濱田松本法律事務所所属
2016年~ アイシア法律事務所開業

自己破産は自分で申し立てできる
自己破産は、本人が自分で申し立てることができます。これを一般に「本人申立て」といいます。裁判所に提出する書類を作成し、必要資料を集め、裁判所の案内に従って手続を進める方法です。
もっとも、本人申立てが可能であることと、本人申立てが向いていることは別です。自己破産では、破産手続開始の判断と、免責許可の判断が分かれます。裁判所が破産手続開始を決定しても、免責許可が得られなければ、借金の支払義務が残ることがあります。
| 確認したいこと | 本人申立てでの考え方 | 注意点 |
|---|---|---|
| 自分で申立てできるか | 法律上は可能 | 裁判所書式、必要書類、補正対応を自分で行います。 |
| 弁護士費用を節約できるか | 弁護士費用はかからない | 管財事件になると予納金が必要になり、結果的に負担が大きくなることがあります。 |
| 免責を受けられるか | 事案と資料次第 | 債権者漏れ、財産申告漏れ、虚偽説明、浪費・ギャンブルなどが問題になります。 |
| 手続が早く終わるか | 一概にはいえない | 書類不足や補正が多いと、かえって長期化します。 |
自己破産の基本条件は、自己破産できる条件とは?支払不能・免責の要件をわかりやすく解説で整理しています。本人申立てを検討する前に、支払不能や免責の考え方を確認しておきましょう。
「自分でできる」は「簡単に免責される」という意味ではない
本人申立てでよくある誤解は、「自分で申し立てられるなら、書式に記入して提出すれば終わる」というものです。しかし、裁判所は、申立書、債権者一覧表、財産目録、家計収支表、陳述書、添付資料、面接内容などをもとに、破産手続を開始すべきか、免責を許可すべきかを判断します。
申立てに至る経緯や財産状況を正確に説明できない場合、補正を求められたり、管財事件に振り分けられたり、免責の判断で不利になることがあります。
本人申立ては、裁判所が法律相談や書類作成代行をしてくれる制度ではありません。裁判所ごとに案内・書式・運用が異なるため、申立先の裁判所で最新の書式や必要書類を確認する必要があります。
本人申立ての大まかな流れ
本人申立ての流れは、裁判所や事案により異なりますが、大まかには次の順序で進みます。弁護士に依頼する場合と違い、各段階の準備や連絡を自分で行う点に注意が必要です。
| 段階 | 本人が行うこと | つまずきやすい点 |
|---|---|---|
| 裁判所書式の確認 | 管轄裁判所の案内・書式・必要書類を確認する | 裁判所ごとに書式や添付資料が異なることがあります。 |
| 債権者の調査 | 全ての借入先、保証債務、家族・友人への借金を整理する | 債権者漏れがあると免責や非免責の問題が生じます。 |
| 財産・収入資料の収集 | 通帳、給与明細、保険、車、不動産、退職金資料などを集める | 財産申告漏れや資料不足が補正・管財化の原因になります。 |
| 申立書類の作成 | 申立書、債権者一覧表、財産目録、家計収支表、陳述書を作る | 資料同士の矛盾、借金原因の説明不足に注意が必要です。 |
| 申立て・補正 | 裁判所へ提出し、補正指示に対応する | 補正が多いと手続が長引きます。 |
| 審尋・面接 | 裁判所からの質問に答え、必要資料を追加する | 借入原因、財産、家計、免責不許可事由を聞かれます。 |
| 同時廃止又は管財事件 | 事件類型に応じて、免責審尋又は管財人対応へ進む | 管財事件では予納金、管財人面談、債権者集会が問題になります。 |
| 免責許可決定 | 免責許可決定の確定を確認する | 免責されない債務が残る場合があります。 |
申立てそのものの詳しい流れは、自己破産の申請方法|申立先・必要書類・費用・本人申立て、手続全体の流れは、自己破産の流れ|相談から申立て・免責確定までの手続で詳しく解説しています。
申立先は住所地などを管轄する地方裁判所
自己破産は、原則として住所地などを管轄する地方裁判所に申し立てます。住民票上の住所と実際の居住地が異なる場合、事業をしている場合、過去の住所地に関係する事情がある場合などは、申立先の確認が必要です。
裁判所への出頭や面接が不安な場合は、自己破産で裁判所に行く回数は?管轄・面接・呼び出しを解説も参考になります。
提出後も補正対応が続くことがある
申立書を提出しても、すぐに開始決定や免責決定が出るとは限りません。通帳の不足、家計表の不備、債権者一覧表の漏れ、財産資料の不足、陳述書の説明不足などがあれば、裁判所から補正や追加資料の提出を求められます。
本人申立てでは、この補正対応も自分で行います。裁判所からの連絡を放置すると、申立てが進まないだけでなく、手続への協力姿勢にも影響します。
本人申立てに必要な書類
自己破産の必要書類は、裁判所や事案によって異なります。本人申立てでは、申立書だけでなく、借金、財産、収入、支出、生活状況、借入原因を裏付ける資料を自分で集める必要があります。
- 本人確認・住所関係:住民票、戸籍関係資料、居住実態が分かる資料など。
- 債権者関係:債権者一覧表、請求書、督促状、契約書、保証債務、債権譲渡通知など。
- 収入関係:給与明細、源泉徴収票、年金通知、失業給付、児童手当、事業収入資料など。
- 財産関係:預貯金通帳、保険証券、解約返戻金資料、車検証、不動産資料、退職金見込額資料など。
- 家計関係:家計収支表、レシート、公共料金、家賃、通信費、教育費、医療費資料など。
- 借入原因の説明資料:陳述書、病気・失業・離婚・事業失敗・保証債務などの資料。
必要書類の一覧は、自己破産の必要書類一覧|取得先・対象期間・不足時の対応で詳しく整理しています。家計収支表は自己破産の家計簿(家計収支表)の書き方|期間・レシート・家族分、陳述書は自己破産の陳述書の書き方|例文・時系列・反省文との違いを確認してください。
債権者一覧表は家族・友人・保証債務も含めて整理する
本人申立てで特に注意が必要なのが、債権者一覧表です。消費者金融やカード会社だけでなく、家族、友人、勤務先、家賃、税金、奨学金、保証債務、債権譲渡後の債権者なども確認する必要があります。
一部の債権者をあえて外すと、債権者漏れや虚偽説明として問題になり得ます。債権者一覧表の作成方法は、自己破産の債権者一覧表の書き方|漏れ・家族や友人の借金の扱いで解説しています。
財産がないと思っていても資料は必要
「財産は何もない」と思っていても、預貯金、保険の解約返戻金、退職金見込額、車、過払金、不動産持分、相続財産、売掛金、敷金、電子マネーなどが問題になることがあります。財産がないことを示すためにも、通帳や証明資料が必要です。
財産の申告漏れは、本人申立ての大きなリスクです。分からない財産がある場合は、提出前に調べ、隠さず申告することが大切です。
本人申立ての費用
本人申立てでは、弁護士費用はかかりません。一方で、裁判所に納める費用や、管財事件になった場合の予納金は必要です。したがって、本人申立てが常に最も安いとは限りません。
| 費用項目 | 本人申立てでの扱い | 注意点 |
|---|---|---|
| 申立手数料 | 収入印紙で納める | 金額は裁判所の案内で確認します。 |
| 予納郵券 | 裁判所からの送付などに使う郵便切手 | 債権者数や裁判所により異なります。 |
| 官報公告費 | 官報掲載のための費用 | 同時廃止・管財事件などで扱いが変わることがあります。 |
| 管財予納金 | 管財事件で破産管財人費用等として必要 | 20万円以上など、まとまった金額を一括で求められることがあります。 |
| 書類取得費 | 住民票、戸籍、不動産資料、証明書など | 細かな実費も積み上がります。 |
| 弁護士費用 | 本人申立てなら不要 | ただし、管財化・補正長期化により総負担が増える場合があります。 |
自己破産の費用全体は、自己破産の費用相場|弁護士費用・裁判所費用と払えない場合、裁判所費用と予納金は自己破産の裁判所費用・予納金はいくら?同時廃止・管財事件別で確認できます。
本人申立てでも管財事件になると予納金が必要
本人申立てで費用面の落とし穴になりやすいのが、管財事件です。財産調査や免責調査が必要と判断されると、破産管財人が選任され、予納金が必要になります。
特に、財産がある、個人事業をしている、会社代表者である、借入原因が浪費・ギャンブル・投資である、債権者漏れや財産移転がある、2回目の自己破産であるといった場合は、管財事件になる可能性があります。
少額管財を利用できるかは裁判所の運用に左右される
裁判所によっては、代理人弁護士が申立書類を整え、調査事項を整理していることを前提に、少額管財として比較的低額・迅速に進める運用があります。一方、本人申立てでは、書類や調査の正確性を確認するため、通常の管財事件として扱われることがあります。
少額管財は全国一律の法律上の制度名ではなく、裁判所ごとの実務運用です。詳しくは、自己破産の少額管財とは?東京地裁の条件・費用・期間・流れをご覧ください。
費用が不安な場合は法テラスや分割を検討する
弁護士費用が不安で本人申立てを考える場合でも、法テラスの民事法律扶助や弁護士費用の分割、申立前の積立てにより依頼できることがあります。費用だけで本人申立てを選ぶ前に、利用できる制度を確認しましょう。
法テラスについては法テラスで自己破産する費用はいくら?利用条件・審査・返済免除、費用が払えない場合の選択肢は自己破産の費用が払えないとき|分割・積立・法テラスと予納金で解説しています。
本人申立てで失敗しやすいリスク
本人申立てのリスクは、単に「手続が大変」というだけではありません。書類や説明の不備が、管財事件化、手続の長期化、免責不許可、非免責債権の問題につながることがあります。
| リスク | 起こりやすい場面 | 結果 |
|---|---|---|
| 書類不足・補正の長期化 | 通帳、家計表、財産資料、陳述書が不十分 | 開始決定まで時間がかかり、裁判所対応の負担が増えます。 |
| 債権者漏れ | 家族・友人、保証債務、税金、家賃、債権譲渡を見落とす | 免責や非免責、債権者からの請求継続が問題になります。 |
| 財産申告漏れ | 保険、退職金、車、相続財産、売掛金などを見落とす | 財産隠しと疑われ、管財事件や免責不許可につながります。 |
| 借入原因の説明不足 | 浪費・ギャンブル・投資・生活費を区別できていない | 免責不許可事由や裁量免責の説明が弱くなります。 |
| 偏頗弁済 | 家族、友人、車ローン、勤務先だけに返済する | 管財事件で否認や免責判断の問題になります。 |
| 督促が止まりにくい | 弁護士の受任通知がないまま準備する | 申立準備中も請求や訴訟・差押え対応が必要になることがあります。 |
| 管財予納金の準備不足 | 同時廃止を想定していたが管財事件になった | 予納金を準備できず、申立てが進まないことがあります。 |
受任通知による督促停止が使えない
弁護士に依頼した場合、受任通知により貸金業者から本人への直接の督促が止まることが多いです。本人申立てでは、弁護士の受任通知がないため、申立準備中も督促、訴訟、支払督促、差押えへの対応が必要になることがあります。
すでに訴訟や差押えが近い場合、本人申立てで書類を一から準備している間に状況が悪化するおそれがあります。
裁判所は本人の説明と資料をもとに判断する
本人申立てでは、弁護士が事前に資料を整理して裁判所に説明するわけではありません。そのため、申立書類や面接での説明が不十分だと、裁判所から見て事情が分かりにくくなります。
特に、生活費の借入れ、浪費、ギャンブル、投資、事業資金、保証債務、離婚、病気、失業などが混在している場合は、時系列と資料の整理が重要です。
免責不許可事由を見落としやすい
自己破産では、浪費、ギャンブル、投資、財産隠し、偏頗弁済、虚偽説明、債権者漏れ、過去7年以内の免責など、免責不許可事由が問題になることがあります。本人申立てでは、どの事情が免責判断に影響するかを見落としやすくなります。
自己破産できないケースの整理は自己破産できない人・ケースとは?申立てと免責が難しい理由、免責不許可事由の詳しい説明は自己破産の免責不許可事由とは?11類型・裁量免責・不許可時の対応をご覧ください。
本人申立てでは、不利な事情を「書かなければ分からない」と考えるのが最も危険です。債権者、通帳、財産資料、裁判所調査、管財人調査から判明することがあります。
裁判例から見る本人申立ての注意点
本人申立てで特に重要なのは、債権者、財産、借入原因を正確に説明することです。裁判例でも、虚偽説明、債権者漏れ、財産の秘匿は、免責判断で重大な問題になっています。
| 裁判例 | 問題になった点 | 本人申立てでの教訓 |
|---|---|---|
| 東京高裁平成7年2月3日決定 | 破産に至る経緯について虚偽の説明をしたことなどが問題となりました。 | 借金原因が不利でも、事実と異なる説明をしてはいけません。 |
| 名古屋高裁平成5年1月28日決定 | 特定の破産債権者を債権者名簿に記載しなかったことが問題となりました。 | 家族・友人・古い債権者も含め、債権者を漏らさないことが重要です。 |
| 千葉地裁八日市場支部平成29年4月20日決定 | 氏名や離婚に伴う解決金の受領について、虚偽説明・財産隠匿が問題となりました。 | 同時廃止を希望する場合でも、財産や身分関係を正確に申告する必要があります。 |
| 東京高裁平成26年7月11日決定 | 同時廃止事案では、破産管財人の調査結果や意見を考慮できず、判断資料が限られる点が指摘されました。 | 本人申立てで同時廃止を希望するほど、最初の書類と説明の正確性が重要になります。 |
裁判例は、本人申立てを否定するものではありません。しかし、自己破産が「誠実に資料を出し、正確に説明する手続」であることを示しています。本人申立てでは、この基本を自分で守らなければなりません。
財産隠しや債権者漏れのリスクは、自己破産で財産隠し・債権者漏れをするとどうなる?調査・訂正・罰則も確認してください。
本人申立てに向いている可能性があるケース
本人申立てが絶対にだめというわけではありません。比較的単純な事案で、資料を自分で正確に集められ、裁判所対応にも時間を割ける場合は、本人申立てを検討できることがあります。
- 財産が少ない:保険、退職金、不動産、車、相続財産、売掛金などの調査事項が少ない場合。
- 借金原因が比較的単純:病気、失業、収入減、生活費不足などで、資料で説明しやすい場合。
- 債権者数が少なく整理しやすい:古い借金、保証債務、債権譲渡、家族・友人への借金が少ない場合。
- 免責不許可事由が見当たらない:浪費、ギャンブル、投資、財産隠し、偏頗弁済、虚偽説明がない場合。
- 裁判所対応の時間を確保できる:平日の出頭、資料取得、補正対応を自分で行える場合。
ただし、本人申立てに向いているかは、借金額だけで決まりません。借金額が少なくても、財産や免責不許可事由があれば難しくなります。借金額の目安は、自己破産はいくらからできる?借金額の目安と支払不能の判断基準で解説しています。
自分でできるかのチェックポイント
| チェック項目 | 本人申立てで特に確認すべきこと |
|---|---|
| 全債権者を把握しているか | 家族・友人・保証債務・債権譲渡・税金・家賃まで確認します。 |
| 過去2年程度の通帳を説明できるか | 大きな入出金、現金引出し、家族への送金を説明できるようにします。 |
| 財産の有無を調べたか | 保険、退職金、車、不動産、相続、過払金、売掛金を確認します。 |
| 借金原因を時系列で説明できるか | いつ、なぜ借入れを始め、いつ返済不能になったかを整理します。 |
| 補正に対応できる時間があるか | 平日の裁判所対応、追加資料取得、面接の時間を確保します。 |
本人申立てより弁護士相談が必要なケース
次のような事情がある場合は、本人申立てで進める前に弁護士へ相談することをおすすめします。書類の作り方だけでなく、申立ての方針、管財事件の可能性、免責の見通し、費用計画を整理する必要があるためです。
- 浪費・ギャンブル・投資がある:裁量免責の説明や再発防止策が重要になります。
- 財産がある:不動産、車、保険、退職金、相続財産、預金、売掛金がある場合です。
- 個人事業主・会社代表者である:売掛金、在庫、帳簿、従業員、取引先、法人債務との関係が問題になります。
- 家族・友人にだけ返済した:偏頗弁済として管財事件や否認の問題が出ます。
- 債権者漏れ・財産申告漏れがありそう:提出前に整理・訂正方針を検討する必要があります。
- 訴訟・差押え・強制執行が近い:本人申立ての準備中に手続が進むおそれがあります。
- 2回目の自己破産である:7年以内か、裁量免責が必要かを確認します。
- 借金原因を説明しづらい:カード現金化、名義貸し、詐欺被害、親族間送金などがある場合です。
2回目の自己破産は、自己破産は2回目でもできる?7年以内の条件・費用・裁量免責で詳しく解説しています。個人事業主の自己破産は個人事業主・自営業の自己破産|事業継続・売掛金・税金・費用、会社と代表者の同時申立ては法人破産と代表者の個人破産は同時申立てできる?費用・管轄・別々に行う場合をご覧ください。
浪費・ギャンブル・投資がある場合
借金原因が浪費、ギャンブル、パチンコ、競馬、オンラインカジノ、FX、株、仮想通貨などの場合、免責不許可事由や裁量免責が問題になります。本人申立てで「生活費」とだけ書いてしまうと、後から資料との矛盾が生じることがあります。
ギャンブルはギャンブル・パチンコの借金でも自己破産できる?裁量免責の判断、投資損失はFX・株・仮想通貨の借金でも自己破産できる?投資損失と裁量免責で整理しています。
財産や家族名義の問題がある場合
財産がある場合や、家族名義の車・口座・保険・不動産に関わる事情がある場合は、本人申立てでは判断が難しくなります。名義が家族でも、購入資金や保険料の負担、実質的な所有関係が問題になることがあります。
家族や友人だけに返済した場合は、自己破産前の偏頗弁済とは?家族・友人・車ローンだけ返すリスクを確認してください。
弁護士なしと司法書士依頼の違い
本人申立てを検討するときは、弁護士なしで完全に自分で行う場合、司法書士に書類作成を依頼する場合、弁護士に代理人として依頼する場合の違いを理解しておく必要があります。
| 方法 | 主な内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 完全な本人申立て | 書類作成、提出、補正、面接、管財人対応を本人が行う | 費用は抑えやすい一方、負担と失敗リスクが大きいです。 |
| 司法書士に書類作成を依頼 | 裁判所提出書類の作成支援を受ける | 地方裁判所の破産手続で弁護士のように代理人として対応するものではなく、本人対応が残ります。 |
| 弁護士に依頼 | 代理人として申立て、債権者対応、裁判所対応、管財人対応を行う | 弁護士費用はかかりますが、事案整理と手続対応の負担を大きく減らせます。 |
司法書士に依頼しても本人対応が残る
司法書士に依頼すれば、書類作成の支援を受けられる場合があります。しかし、地方裁判所の自己破産手続では、弁護士のように代理人として裁判所や破産管財人との対応を全面的に行うものではありません。本人が裁判所に出頭したり、管財人に説明したりする場面が残ります。
そのため、免責不許可事由、管財事件、財産調査、2回目の自己破産などがある場合は、書類作成支援だけで足りるか慎重に考える必要があります。
弁護士に依頼するメリット
弁護士に依頼すると、受任通知による債権者対応、債権調査、過払金や利息制限法の確認、必要書類の整理、申立書・陳述書の作成、裁判所との連絡、管財人対応、債権者集会対応などを任せられます。
弁護士費用の相場や内訳は、自己破産の弁護士費用はいくら?相場・内訳と見積もりの注意点で解説しています。
自分で申し立てる前に確認すべきこと
本人申立てで進める場合でも、提出前に次の点を確認してください。ここで不安がある場合は、申立て前に弁護士へ相談した方が安全です。
- すべての債権者を書き出したか:古い借入れ、家族・友人、保証債務、税金、家賃、債権譲渡も確認します。
- すべての財産を調べたか:保険、退職金、車、不動産、相続、売掛金、電子マネーまで確認します。
- 通帳の入出金を説明できるか:大きな出金、家族送金、現金引出し、臨時収入を整理します。
- 借金原因を時系列で説明できるか:いつ借り始め、何に使い、いつ返せなくなったかをまとめます。
- 免責不許可事由がないか:浪費、ギャンブル、投資、偏頗弁済、財産移転、虚偽説明を確認します。
- 裁判所対応の時間があるか:平日の出頭、補正、資料取得、管財人面談に対応できるか確認します。
- 管財予納金を準備できるか:同時廃止で進むと決めつけず、管財事件の可能性を考えます。
東京地裁など地域ごとの運用を確認したい場合は、東京地裁の自己破産手続|同時廃止・少額管財・面接・必要書類も参考になります。
「成功率」は一律の数字では判断できない
「自己破産を自分でやった場合の成功率」を知りたい方もいます。しかし、本人申立ての成功率について、全国一律に使える公的な数字を前提に判断するのは適切ではありません。自己破産の見通しは、借金額よりも、支払不能、財産、借入原因、債権者漏れ、免責不許可事由、資料の正確性によって変わります。
本人申立てを選ぶかどうかは、成功率の数字ではなく、自分の事案が単純か、資料を正確に集められるか、不利な事情を説明できるかで判断しましょう。
坂尾陽弁護士
よくある質問
自己破産は本当に自分でできますか?
できます。法律上、本人が自分で破産・免責の申立てをすることは可能です。ただし、必要書類、債権者一覧表、財産目録、家計収支表、陳述書、補正対応、出頭対応を自分で行う必要があります。
本人申立ての費用はいくらですか?
弁護士費用はかかりませんが、申立手数料、予納郵券、官報公告費、書類取得費が必要です。管財事件になると、破産管財人のための予納金が必要になります。金額は裁判所や事件類型で異なります。
本人申立てなら弁護士費用分だけ安くなりますか?
一概にはいえません。弁護士費用は不要になりますが、管財事件になって予納金が必要になったり、補正対応が長期化したりすると、負担が大きくなることがあります。
弁護士なしでも督促は止まりますか?
本人申立てでは、弁護士の受任通知による督促停止はありません。申立準備中も、債権者からの督促、訴訟、差押えへの対応が必要になることがあります。
司法書士に依頼すれば弁護士と同じですか?
同じではありません。司法書士には裁判所提出書類の作成支援を依頼できる場合がありますが、地方裁判所の自己破産手続で弁護士のように代理人として裁判所・管財人対応を全面的に行うものではありません。
本人申立てだと管財事件になりやすいですか?
事案によります。ただ、財産、事業、免責不許可事由、借入原因の複雑さ、書類の不足があると、調査のため管財事件になる可能性があります。本人申立てだから必ず管財事件というわけではありません。
債権者漏れがあっても後で直せますか?
漏れに気づいた場合は、すぐに裁判所へ報告し、訂正する必要があります。故意に外した場合や、重要な債権者を隠した場合は、免責や非免責の問題につながります。
財産がまったくない場合は本人申立てで大丈夫ですか?
財産が少ないことは本人申立てを検討できる事情の一つですが、それだけで安全とはいえません。借入原因、債権者漏れ、通帳の入出金、免責不許可事由、過去の自己破産歴も確認が必要です。
2回目の自己破産でも自分でできますか?
法律上は可能ですが、前回免責から7年以内か、前回と同じ借金原因か、裁量免責が必要かを確認する必要があります。2回目は本人申立てより弁護士相談をおすすめする典型例です。
申立て後に取り下げればよいですか?
申立て後の取下げは、自由にできるとは限りません。事件の進行状況や裁判所の判断が関係します。申立て前に、方針と費用の見通しを十分に確認してください。
まとめ
自己破産は自分で申し立てることができます。しかし、本人申立てでは、書類作成、債権者調査、財産調査、裁判所からの補正、面接・審尋、管財事件になった場合の対応まで自分で行う必要があります。
- 本人申立ては法律上可能ですが、免責許可まで自動的に進むわけではありません
- 弁護士費用は不要でも、管財事件になると予納金が必要になり、結果的に負担が増えることがあります
- 債権者漏れ、財産申告漏れ、虚偽説明、借入原因の説明不足は免責判断で重大なリスクになります
- 司法書士に書類作成を依頼しても、弁護士代理と同じではなく、本人対応が残ります
- 財産・事業・免責不許可事由・2回目の自己破産がある場合は、申立て前に弁護士へ相談しましょう
本人申立てを選ぶか迷う場合は、費用だけで判断せず、自分の事案がどれだけ複雑か、管財事件になる可能性があるか、免責不許可事由を説明できるかを確認することが大切です。
坂尾陽弁護士
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