自己破産の陳述書の書き方|例文・時系列・反省文との違い

自己破産の陳述書は、破産に至った経緯、現在の生活状況、収入・家族・住居、財産や債務の状況、免責に関係する事情などを裁判所に説明するための書類です。単なる反省文ではなく、借入れが始まった時期から返済できなくなるまでの流れを、資料と整合する形で時系列に整理することが重要です。

  • 陳述書は、裁判所が支払不能、借金の経緯、免責を許可してよいかを確認するための重要書類です。
  • 書式や名称、記載欄は裁判所によって異なるため、申立先裁判所の最新書式に合わせて作成します。
  • 破産に至った経緯は、初回借入れ、債務増加、返済困難、支払停止、相談・申立てまでを時系列で書くと整理しやすいです。
  • 例文は参考にできますが、自分にない事情を写すと、通帳・家計簿・債権者一覧表との矛盾が生じます。
  • 反省文は、浪費やギャンブルなど免責不許可事由が問題になるときに追加で求められることがあります。

坂尾陽弁護士

陳述書で大切なのは、文章を上手に見せることではなく、事実を隠さず、裁判所が流れを理解できるように整理することです。覚えていない部分や資料がない部分は、無理に断定せず、分かる範囲と確認できない理由を弁護士に共有しましょう。
(執筆者)弁護士 坂尾陽(Akira Sakao -attorney at law-)

2009年      京都大学法学部卒業
2011年      京都大学法科大学院修了
2011年      司法試験合格
2012年~2016年 森・濱田松本法律事務所所属
2016年~     アイシア法律事務所開業

不倫慰謝料に詳しい坂尾陽弁護士

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自己破産の陳述書とは破産に至った事情を裁判所へ説明する書類です

自己破産の申立てでは、申立書、債権者一覧表、財産目録、家計収支表などとあわせて、陳述書を提出するのが通常です。陳述書には、本人の生活状況、収入、家族、住居、職歴、借金が増えた原因、支払不能になった時期、免責に関係する事情などを記載します。

裁判所は、陳述書だけで結論を決めるわけではありません。通帳、給与明細、家計簿、債権者一覧表、財産資料、カード明細などの資料とあわせて、申立ての内容が正確か、財産や債権者に漏れがないか、免責を認めてよいかを確認します。そのため、陳述書は「もっともらしい物語」を作る書類ではなく、資料で裏付けられる事実を整理する書類と考えるべきです。

書類 主な役割 陳述書との関係
陳述書 破産に至った経緯、生活状況、免責に関係する事情を説明します。 この記事の主題です。時系列と資料整合が重要です。
家計収支表 毎月の収入・支出を整理し、支払不能や生活再建の見通しを示します。 陳述書の収入・支出の説明と矛盾しないようにします。
債権者一覧表 金融会社、家族、友人、保証債務、税金などの債権者を一覧化します。 陳述書で説明した借入先が一覧表から漏れないようにします。
財産目録 預貯金、保険、車、不動産、退職金、売掛金などの財産を記載します。 陳述書で財産処分や資金移動を説明する場合、財産目録とも整合させます。
反省文・上申書 浪費・ギャンブルなどの反省、再発防止策、補足説明を記載します。 必要に応じて追加されることがあります。陳述書とは目的が異なります。
陳述書の名称は裁判所ごとに違うことがあります

裁判所の書式では、「陳述書」「破産・免責申立てに関する陳述書」「破産申立てに至った事情」など、名称や構成が異なることがあります。古い書式や他の裁判所の書式をそのまま使わず、申立先裁判所の指示や弁護士の案内に合わせて作成してください。

自己破産の必要書類全体を先に確認したい場合は、自己破産の必要書類一覧も参考にしてください。家計収支表の作成方法は自己破産の家計簿の書き方、債権者一覧表の作成方法は自己破産の債権者一覧表の書き方で詳しく解説しています。


自己破産の陳述書に書く主な項目

陳述書に何を書くかは、申立先の裁判所の書式によって変わります。ただし、個人の自己破産では、次のような項目を確認されることが多いです。

項目 書く内容 準備しておく資料・メモ
職歴・収入 勤務先、雇用形態、転職・退職、給与、年金、手当、事業収入などを記載します。 給与明細、源泉徴収票、課税証明書、年金通知、確定申告書
家族・同居者 配偶者、子ども、同居家族、扶養関係、家計を同一にする人を整理します。 住民票、家族の収入資料、生活費負担のメモ
住居 持ち家か賃貸か、家賃、住宅ローン、同居者名義、退去予定などを記載します。 賃貸借契約書、住宅ローン資料、不動産資料
借入れのきっかけ いつ、何のために、どこから借りたかを説明します。 契約書、カード明細、取引履歴、当時の事情メモ
債務が増えた原因 生活費不足、収入減、病気、離婚、教育費、住宅ローン、事業資金、保証、浪費、ギャンブルなどを整理します。 通帳、医療資料、離職資料、家計簿、事業資料
返済できなくなった時期 いつ頃から返済が困難になり、どのように支払不能に至ったかを説明します。 督促状、滞納通知、受任通知、支払停止時期のメモ
免責に関係する事情 浪費、ギャンブル、投資、偏った返済、財産処分、名義変更、債権者漏れなどを記載します。 通帳、カード明細、売却資料、送金記録、弁護士への説明メモ
今後の生活再建 家計の見直し、収入の見込み、再発防止策、家族の協力などを記載します。 家計収支表、就労予定、支出見直しメモ

このように、陳述書は本人のこれまでの生活と借金の経緯を幅広く説明する書類です。もっとも、すべてを長文で細かく書けばよいわけではありません。裁判所が知りたいのは、借金が発生した原因、債務が増えた理由、返済不能になった時期、免責判断に関係する事情が、資料と矛盾なく説明されているかです。

曖昧なまま提出しない方がよい項目

借入先、借入時期、収入、財産処分、家族や友人への返済、ギャンブル・投資・浪費、現金引出しの使途などは、後から追加説明を求められやすい項目です。記憶が曖昧な場合は、分からないまま断定して書くのではなく、資料で確認できる範囲と、確認できない理由を整理して弁護士に相談しましょう。


破産に至った経緯は時系列で整理すると書きやすくなります

自己破産の陳述書で特に悩みやすいのが、「破産に至った経緯」や「借金の経緯」の欄です。ここでは、結論だけを書いても、裁判所に事情が伝わりません。反対に、思いつくまま長く書きすぎると、重要な時期や原因が分かりにくくなります。

まずは文章にする前に、年表のように整理するのがおすすめです。

時期 整理する内容 書き方のポイント
初回借入れ 最初に借金をした時期、借入先、目的 生活費、教育費、病気、事業資金、住宅ローン、カード利用など、きっかけを具体的に書きます。
債務増加 借入先や金額が増えた理由 収入減、支出増、返済のための借入れ、リボ払い、事業不振など、増加の流れを書きます。
返済困難 返済が遅れ始めた時期、督促、滞納 返済のために借りる状態、多重債務化、家計の赤字、給与差押えなどを整理します。
支払不能 返済継続ができなくなった時期 収入・財産・生活費を踏まえて、なぜ返済を続けられなくなったかを書きます。
相談・申立準備 弁護士相談、受任通知、資料収集、申立て 相談後に返済を止めた時期、書類を集めた経緯、今後の生活再建の姿勢を書きます。

「いつ・なぜ・どう増えたか」を先にメモにします

最初から完成した文章を書こうとすると、途中で手が止まりやすくなります。まずは、「平成〇年頃にクレジットカードを作った」「令和〇年に転職して収入が減った」「令和〇年頃から返済のために借入れをした」など、短いメモを並べます。その後、時期の順番を入れ替え、重要な出来事だけを残して文章にします。

借入れの原因が複数ある場合は主な原因と補助原因に分けます

借金の原因は一つだけとは限りません。生活費不足に加えて、病気、離婚、教育費、住宅ローン、浪費、ギャンブル、投資、事業資金などが重なっていることもあります。この場合、「主な原因」を一つに決めつけるのではなく、時期ごとに何が原因だったかを分けて書くと、経緯が分かりやすくなります。

返済できなくなった時期は家計・通帳・督促状と合わせます

陳述書で「令和〇年頃から返済が困難になりました」と書く場合、その時期の家計、通帳、返済履歴、督促状、給与明細とも整合している必要があります。家計簿では黒字なのに陳述書では生活費不足と書いている、通帳では高額支出があるのに説明がない、債権者一覧表に出てくる借入先が陳述書に出てこない、といった状態は補正や追加説明につながりやすくなります。

手続全体の流れは、自己破産の流れで解説しています。陳述書の作成は、申立準備の中でも、家計簿・債権者一覧表・財産目録とセットで進める作業です。


自己破産の陳述書の例文と使い方

陳述書の例文は、文章の流れをつかむためには役立ちます。ただし、例文をそのまま写してはいけません。自分にない事情を書くと、後で通帳、カード明細、給与資料、債権者一覧表との矛盾が生じ、かえって説明が難しくなります。

例文は型だけを参考にしましょう

例文から参考にしてよいのは、「時系列で書く」「原因と結果を分ける」「支払不能になった時期を書く」「今後の生活再建を書く」といった型です。借入先、金額、病気、離婚、ギャンブル、事業不振などの具体的な事実は、必ず自分の事情に合わせて書き換えます。

生活費不足・収入減が主な原因の例文

私は、令和〇年頃、給与だけでは家賃、食費、子どもの教育費を支払うことが難しくなり、クレジットカードで生活用品を購入するようになりました。当初は翌月の給与で支払えると考えていましたが、令和〇年に勤務先の残業が減り、手取り収入が月〇万円程度少なくなりました。そのため、カードの支払いや生活費を補う目的で消費者金融から借入れをするようになりました。

その後、返済日に間に合わせるために別の会社から借り入れることを繰り返し、借入先と残高が増えていきました。令和〇年頃には、毎月の返済額が収入から生活費を差し引いた金額を大きく上回り、返済を続けることができなくなりました。現在は家計を見直し、借入れに頼らない生活にするため、支出を整理して申立ての準備を進めています。

病気・失業が主な原因の例文

私は、令和〇年頃まで正社員として勤務していましたが、体調不良により休職することになり、収入が減少しました。傷病手当金だけでは家賃や生活費をまかなうことができず、クレジットカードのキャッシングやカード払いを利用しました。当初は復職後に返済できると考えていましたが、体調が回復せず、令和〇年に退職しました。

退職後は収入が不安定になり、返済のために新たな借入れをする状態が続きました。令和〇年頃には、返済額が収入を上回り、督促を受けるようになりました。現在は医師の治療を受けながら生活を整えており、今後の収入見込みと支出を整理したうえで、自己破産の申立てを行うことにしました。

浪費・ギャンブル・投資が含まれる場合の例文

私は、令和〇年頃から、ストレス解消のためにパチンコに通うようになり、最初は給与の範囲内で遊んでいました。しかし、負けた分を取り戻したいという気持ちから、クレジットカードのキャッシングを利用するようになりました。令和〇年頃には、ギャンブル費用だけでなく、返済資金を用意するためにも借入れをするようになり、債務額が急速に増えました。

自分の収入では返済できないことを認識した後も、家族に相談できず、さらに借入れを重ねてしまいました。この点については深く反省しています。現在はギャンブルをやめ、家計を家族と確認しながら、再び借入れに頼らない生活を続けるための見直しをしています。

個人事業・事業資金が含まれる場合の例文

私は、令和〇年頃から個人事業を営んでいましたが、売上の減少により、仕入代金、外注費、家賃、生活費の支払いが苦しくなりました。当初は一時的な資金不足と考え、事業資金として金融機関やカードローンから借入れをしました。しかし、取引先からの入金遅れや売上減少が続き、令和〇年頃から返済のために借入れを重ねる状態になりました。

事業用口座と生活費の支出が混在していたため、通帳や帳簿を整理し、どの支出が事業費で、どの支出が生活費かを確認しています。今後は事業を継続するか廃止するかも含めて弁護士に相談し、財産、売掛金、在庫、取引先債務に漏れがないように申立てを進めます。

例文どおりに書くと危険なケース

例文に出てくる病気、離婚、ギャンブル、投資、事業不振などの事情が自分にない場合は、絶対に入れないでください。逆に、自分に浪費、ギャンブル、投資、偏った返済、財産処分などの事情があるのに、例文にないからといって省略するのも危険です。


陳述書と反省文の違い

自己破産では、「陳述書」と「反省文」が混同されることがあります。どちらも借金の経緯や今後の生活について書くことがありますが、目的と提出場面は異なります。

比較項目 陳述書 反省文
提出場面 申立書類の一部として提出するのが通常です。 裁判所や破産管財人から追加で求められる場合があります。
主な目的 破産に至った経緯、生活状況、財産、債務、免責に関係する事情を説明します。 浪費、ギャンブル、投資などについて反省と再発防止策を示します。
書式 裁判所書式に沿って記載することが多いです。 指定書式がない場合もあり、文章形式で書くことがあります。
重視される点 事実、時系列、資料との整合、記載漏れの防止です。 自分の問題点の理解、反省、具体的な改善策です。
注意点 嘘や省略を避け、分からないことは確認して書きます。 形式的な謝罪だけでなく、今後同じことをしない仕組みを書きます。

反省文が必要になる典型例は、ギャンブル、浪費、投資、換金行為、偏った返済、財産処分など、免責不許可事由が問題になり得る場合です。ただし、反省文を提出すれば必ず免責されるわけでも、反省文を求められたら必ず免責されないわけでもありません。問題になる事情を正直に説明し、再発防止策を具体的に示すことが大切です。

免責不許可事由の詳しい考え方は、自己破産の免責不許可事由で解説しています。陳述書の中で浪費やギャンブルなどをどう説明するか不安がある場合は、申立前に弁護士へ相談してください。


陳述書を書くときのポイント

事実と気持ちを分けて書く

陳述書では、まず客観的な事実を分かるように書きます。「令和〇年に退職した」「令和〇年から返済のために借入れをした」「令和〇年頃に支払いが遅れた」といった事実を先に書き、そのうえで必要に応じて反省や今後の改善策を書きます。反省の気持ちだけが長く、具体的な事実が少ない文章では、裁判所が経緯を確認しにくくなります。

資料と矛盾しないように書く

陳述書は、通帳、家計簿、カード明細、給与資料、債権者一覧表、財産目録と照合されます。たとえば、陳述書では「生活費のため」と書いているのに、通帳やカード明細では高額な娯楽支出が続いている場合、追加説明が必要になります。矛盾があるから直ちに自己破産できないという意味ではありませんが、説明を避けると不信感につながります。

分からないことを断定しない

古い借入れやカード利用について、正確な年月や金額を覚えていないことはあります。その場合に、記憶だけで断定すると、取引履歴や債権者回答とずれることがあります。「令和〇年頃」「おおむね〇万円程度」「正確な時期は資料確認中」など、分かる範囲で整理し、必要に応じて弁護士に確認してから書く方が安全です。

家族や友人への借金・返済も省略しない

消費者金融やカード会社だけでなく、家族、友人、勤務先、取引先、家賃、税金、保証債務なども、債務として整理が必要になることがあります。家族や友人への借金は書きづらいと感じるかもしれませんが、陳述書で説明した借入れが債権者一覧表から漏れていると、手続上の問題になり得ます。詳しくは、債権者一覧表の書き方で確認してください。

一部の債権者だけに返済した事情は必ず相談する

申立て前に、家族だけ、友人だけ、勤務先だけ、保証人に迷惑をかけたくない債権者だけに返済している場合、偏った返済として問題になることがあります。陳述書で触れないままにすると、通帳の送金履歴や現金引出しから後で説明を求められることがあります。偏った返済のリスクは、自己破産前の偏頗弁済でも解説しています。


嘘・省略・不正確な記載は免責判断に影響することがあります

陳述書で最も避けるべきなのは、裁判所に良く見せようとして、借金の原因、財産、収入、家族への返済、浪費、ギャンブル、投資、現金引出しなどを隠すことです。自己破産では、正確な資料と説明を前提に、債権者への公平、財産の調査、免責の可否が判断されます。

破産法上も、虚偽の債権者名簿の提出や虚偽説明は、免責不許可事由になり得ます。陳述書そのものだけでなく、債権者一覧表、財産目録、家計収支表、裁判所や破産管財人への説明全体を通じて、事実と異なる説明をしないことが重要です。

古い裁判例ですが、福岡高裁昭和60年2月1日決定では、借入申込書の他の借入先欄や連帯保証人欄などの不正確な記載が、免責判断の中で問題にされた例があります。この事案では最終的に免責が認められていますが、読者が押さえるべき点は「不正確な記載でも軽く見てよい」ということではありません。借入先、収入、保証人、財産、家族関係などの説明を、分かる範囲で正確に整理する必要があるという点です。

危険な書き方 なぜ問題になるか 対応の方向性
ギャンブルや投資を生活費不足だけに置き換える カード明細、通帳、入出金履歴と矛盾しやすいです。 実際の使途を説明し、反省と再発防止策も整理します。
家族や友人への借金を書かない 債権者漏れ、偏った返済、非免責債権の問題につながることがあります。 債権者一覧表にも記載する必要があるか確認します。
財産を処分したことを書かない 財産隠し、換価逃れ、偏頗弁済の疑いを持たれやすいです。 処分時期、金額、使途、相手方を資料で説明します。
現金引出しの使途を空欄にする 使途不明金として追加説明を求められやすいです。 レシート、家計簿、メモで分かる範囲を補います。
例文をそのまま写す 自分の通帳・家計・債務状況と合わず、信用性を下げるおそれがあります。 例文は構成だけ参考にし、事実は自分の事情で書きます。

財産や債権者の漏れが不安な場合は、自己破産で財産隠し・債権者漏れをするとどうなるかも確認してください。問題がある可能性を見つけた段階で、隠すのではなく、訂正・補足・説明の方法を考えることが大切です。


陳述書を作成する前に準備しておく資料

陳述書は、記憶だけで作るよりも、資料を見ながら作る方が正確です。特に、古い借入れ、転職、離婚、病気、事業不振、財産処分、家族への返済などは、資料があると時系列を整理しやすくなります。

確認したいこと 役立つ資料 陳述書への使い方
借入れの開始時期 契約書、カード明細、信用情報、取引履歴 初回借入れと借入目的を整理します。
債務が増えた流れ 取引履歴、通帳、カード明細、家計簿 返済のための借入れ、多重債務化の時期を確認します。
収入の変化 給与明細、源泉徴収票、退職資料、課税証明書 収入減、失業、転職、休職の時期を説明します。
支出の増加 医療費資料、教育費資料、家賃、税金、公共料金 生活費不足の具体的な原因を説明します。
浪費・投資・ギャンブル 通帳、カード明細、アプリ履歴、取引履歴 使途、期間、金額、現在の改善策を整理します。
財産処分・名義変更 売買契約書、譲渡資料、入金記録、登録資料 処分時期、金額、使途、相手方を説明します。
家族や友人とのお金のやり取り 送金記録、借用書、LINE、メモ 借入れ、返済、援助、贈与の区別を整理します。

資料がない場合でも、何も書けないわけではありません。いつ頃、誰から、何のために借りたか、なぜ資料がないか、どの範囲まで記憶しているかをメモにします。弁護士に依頼している場合は、曖昧なまま提出する前に、資料の取り寄せや記載方法を相談しましょう。

申立て全体の準備方法は、自己破産の申請方法でも解説しています。本人申立てで進める場合は、書式確認、資料収集、補正対応、裁判所からの呼び出しまで自分で対応する必要があります。


弁護士に相談した方がよい陳述書のケース

陳述書は自分で書くこともできますが、次のような事情がある場合は、申立前に弁護士へ相談した方が安全です。書き方を間違えると、同時廃止の見通し、管財事件への振分け、免責判断、追加資料の量に影響することがあります。

  • ギャンブル、浪費、投資、FX、暗号資産、オンラインカジノなどが借金原因に含まれる場合
  • 申立て前に家族、友人、勤務先、保証人付き債務など一部だけ返済した場合
  • 車、不動産、保険、退職金、売掛金、在庫、事業用財産などの財産がある場合
  • 通帳に高額な現金引出し、家族への送金、名義変更、財産処分がある場合
  • 債権者や借金額を正確に把握できていない場合
  • 個人事業主、法人代表者、会社役員、保証債務がある場合
  • 過去に自己破産や個人再生をしたことがある場合

このような事情があるからといって、必ず免責されないわけではありません。大切なのは、問題になり得る事情を早めに共有し、資料をそろえ、陳述書・家計簿・債権者一覧表・財産目録の説明を整えることです。

管財事件になる可能性がある場合は、自己破産の管財事件同時廃止との違いも確認しておくと、陳述書でどのような事情が重視されるかを理解しやすくなります。


自己破産の陳述書についてよくある質問

陳述書は必ず提出する必要がありますか?

多くの裁判所では、自己破産の申立書類の一部として陳述書又はこれに相当する書類を提出します。もっとも、書類の名称、構成、記載欄は裁判所によって異なります。弁護士に依頼している場合は、弁護士が聞き取りをしたうえで作成又は補助することが多いです。

陳述書は手書きでなければいけませんか?

裁判所の書式や提出方法によります。手書き欄がある書式もあれば、パソコンで作成した文章を添付する場合もあります。読みやすさは重要ですが、形式だけでなく、資料と整合した正確な内容になっているかを優先してください。

どこまで詳しく書けばよいですか?

すべての買い物や支出を細かく書く必要はありませんが、借入れが始まった理由、債務が増えた主な原因、返済できなくなった時期、免責判断に関係する事情は分かるように書く必要があります。高額な支出、ギャンブル・投資、財産処分、一部返済などは、別途具体的な説明が必要になることがあります。

例文をそのまま使ってもよいですか?

使わない方が安全です。例文は文章の流れを参考にするためのものです。自分にない事情を入れたり、自分にある不利な事情を省いたりすると、通帳や家計簿との矛盾から説明が難しくなります。例文は型だけを参考にし、事実は自分の資料と記憶に合わせて書きましょう。

反省文も必ず必要ですか?

反省文は全員が必ず提出する書類ではありません。ギャンブル、浪費、投資、換金行為などが問題になる場合や、裁判所・破産管財人から求められた場合に提出することがあります。反省文を求められた場合は、単に謝罪するだけでなく、原因の理解と再発防止策を具体的に書くことが大切です。

借金の原因が恥ずかしい場合でも書くべきですか?

はい。恥ずかしい事情ほど、隠すのではなく、弁護士に正直に伝えてください。裁判所は、借金原因そのものだけでなく、説明の誠実さ、現在の改善状況、今後同じことを繰り返さないための具体策も見ます。隠した事情が後から分かる方が、手続や免責判断に悪影響が出やすくなります。


まとめ|自己破産の陳述書は事実を時系列で正確に整理しましょう

自己破産の陳述書は、破産に至った経緯、生活状況、収入、家族、財産、免責に関係する事情を裁判所に説明するための書類です。反省文のように気持ちだけを書くものではなく、資料と整合する事実を、時系列で分かりやすく整理する必要があります。

  • 陳述書は、支払不能と免責判断に関係する事情を裁判所へ説明する書類です。
  • 破産に至った経緯は、初回借入れ、債務増加、返済困難、支払不能、相談・申立ての順に整理します。
  • 例文は構成だけを参考にし、自分にない事情を写さないようにします。
  • 反省文は、浪費やギャンブルなどが問題になるときに追加で求められることがあります。
  • 通帳、家計簿、債権者一覧表、財産目録と矛盾しないように、分からない点は弁護士へ早めに相談しましょう。

坂尾陽弁護士

陳述書は、借金に向き合う作業でもあります。うまく書けない場合でも、通帳、督促状、カード明細、家計簿、家族への返済メモなどを集めておけば、弁護士と一緒に時系列を整理できます。隠さず、急がず、資料に沿って整えることが大切です。

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陳述書を作成する前後には、必要書類、家計簿、債権者一覧表、免責不許可事由、管財事件の見通しもあわせて確認しておくと、申立準備の漏れを防ぎやすくなります。

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