自己破産の管財事件とは?同時廃止との違い・流れ・費用・期間

自己破産の管財事件とは、裁判所が破産管財人を選任し、財産・債権・免責不許可事由などを調査する手続です。同時廃止よりも費用や期間の負担は大きくなりやすい一方で、管財事件になったからといって直ちに免責されない、という意味ではありません。財産の換価、債権者集会、破産管財人との面談、郵便物の転送などがあるため、申立て前から何を準備し、何をしてはいけないかを理解しておくことが大切です。

  • 管財事件は、破産管財人が選任される自己破産手続です。
  • 財産、個人事業、法人代表者、免責不許可事由、偏頗弁済、使途不明金などの調査が必要な場合に管財事件になりやすいです。
  • 管財事件では、管財人面談、郵便物の転送、財産の換価、債権者集会、免責意見などへの対応が必要になります。
  • 費用は同時廃止より高くなりやすく、破産管財人の報酬に充てる引継予納金が必要になるのが通常です。
  • 管財事件を避けることだけを目的に財産処分や一部返済をすると、かえって手続や免責に悪影響が出ることがあります。

坂尾陽弁護士

管財事件は「失敗」や「免責されない手続」ではありません。破産管財人が入る分、確認事項は増えますが、資料を正確に出し、面談や質問に誠実に対応すれば、免責に向けて進められるケースは多くあります。
(執筆者)弁護士 坂尾陽(Akira Sakao -attorney at law-)

2009年      京都大学法学部卒業
2011年      京都大学法科大学院修了
2011年      司法試験合格
2012年~2016年 森・濱田松本法律事務所所属
2016年~     アイシア法律事務所開業

不倫慰謝料に詳しい坂尾陽弁護士

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自己破産の管財事件とは破産管財人が選任される手続です

自己破産の管財事件とは、裁判所が破産手続開始決定をしたときに、破産管財人を選任して進める手続です。破産管財人は、破産者の財産を調査し、必要に応じて換価し、債権者への配当を検討します。また、免責を認めてよいかについて、浪費、ギャンブル、投資、偏った返済、財産隠しなどの事情も確認します。

裁判所の案内でも、破産手続は、裁判所が開始を決定し、破産管財人を選任して、債務者の財産を金銭に換えて債権者に配当する手続であり、財産が少ない場合には、破産管財人を選任しないまま終了することもあると説明されています。個人の自己破産では、財産の換価・配当だけでなく、免責を許可してよいかの調査も重要になります。

用語 意味 読者が押さえる点
管財事件 破産管財人が選任される破産手続です。 財産調査、換価、債権者集会、免責調査が行われます。
破産管財人 裁判所が選任する弁護士などで、破産手続を進める立場です。 申立人側の弁護士とは別の中立的な立場です。
破産財団 債権者への配当原資となる財産の集合です。 すべての財産を失うという意味ではなく、自由財産などは別に整理されます。
債権者集会 破産管財人が財産状況や管財業務を報告する期日です。 破産者本人も出席を求められるのが通常です。
免責 対象となる借金の支払義務から解放される手続です。 破産手続開始だけでは借金はなくならず、免責許可決定の確定が重要です。
管財事件になっても免責をあきらめる必要はありません

管財事件は、破産管財人による調査が必要と判断された手続です。財産や免責不許可事由があるからといって、必ず免責されないわけではありません。重要なのは、資料を隠さず、質問に正確に答え、家計改善や再発防止の状況を説明することです。

自己破産全体の流れは、相談、受任通知、必要書類の収集、申立て、破産手続開始決定、同時廃止又は管財事件への分岐、免責許可決定、免責確定という順番で整理できます。手続全体の見通しは、自己破産の流れも参考にしてください。


管財事件と同時廃止の違い

管財事件と同時廃止の一番大きな違いは、破産管財人が選任されるかどうかです。同時廃止では、破産手続開始と同時に破産手続を終了させるため、破産管財人は選任されません。一方、管財事件では、破産管財人が選任され、財産や免責に関する調査を行います。

項目 管財事件 同時廃止
破産管財人 選任されます。 選任されません。
主な目的 財産調査、換価、配当、免責調査を行います。 破産手続を開始と同時に廃止し、主に免責手続へ進みます。
費用 引継予納金が必要となり、同時廃止より高くなりやすいです。 管財人報酬にあたる予納金が不要なため低くなりやすいです。
期間 債権者集会や換価があるため、半年程度以上かかることがあります。 比較的短期間で免責まで進むことがあります。
裁判所対応 管財人面談、債権者集会、追加資料提出などが必要になりやすいです。 免責審尋の有無などは裁判所の運用によります。
郵便物 破産管財人へ転送されることがあります。 破産管財人がいないため、通常は管財人への転送はありません。
向いているケース 財産、事業、免責不許可事由などの調査が必要なケースです。 財産や調査事項が少ない比較的単純なケースです。

同時廃止の詳細は、自己破産の同時廃止で整理しています。この記事では、同時廃止ではなく管財事件になった場合に、何が起こり、何を準備すべきかを中心に説明します。


自己破産が管財事件になる主な条件・理由

管財事件になるかどうかは、本人が自由に選べるものではありません。裁判所が、申立書類、添付資料、財産状況、借金の原因、申立て前の行動などを見て、破産管財人による調査が必要かを判断します。

大まかには、次のような事情があると管財事件になりやすいです。

管財事件になりやすい事情 なぜ管財人調査が必要になるか 申立前に準備すること
一定額以上の財産がある 換価して債権者へ配当できる可能性があるためです。 財産の種類、時価、査定、契約書、通帳の動きを整理します。
不動産を所有している 売却、担保、共有、オーバーローンなどの調査が必要になりやすいためです。 登記事項証明書、査定書、住宅ローン残高を準備します。
個人事業主・法人代表者である 売掛金、在庫、設備、事業資金、取引先、従業員、税金などが関係するためです。 帳簿、請求書、在庫、廃業時期、法人資料を整理します。
浪費・ギャンブル・投資が大きい 免責不許可事由の有無や裁量免責の可否を調査するためです。 時期、金額、原因、家計改善、再発防止策を説明できるようにします。
偏頗弁済がある 特定の債権者だけを有利に扱ったかを調べる必要があるためです。 返済先、時期、金額、理由、通帳記録を整理します。
財産隠し・名義変更が疑われる 破産財団を害する行為がないか確認する必要があるためです。 売却、贈与、名義変更、家族口座への移動を正確に説明します。
使途不明金がある 財産処分や隠匿がないか確認する必要があるためです。 通帳の大きな出金、現金引出し、カード利用の理由を整理します。
債権者漏れ・資料不足がある 書面だけでは手続の公正や免責判断が難しいためです。 債権者一覧表、契約書、督促状、家族・友人への借入れを確認します。

財産がある場合は管財事件になりやすい

破産手続では、破産手続開始時に破産財団に属する財産について、破産者が自由に処分できなくなる部分があります。破産管財人は、その財産を調査し、必要に応じて換価して債権者への配当を検討します。

預貯金、保険の解約返戻金、車、不動産、退職金見込額、過払金、売掛金、相続財産などは、管財事件になるかどうかの判断で問題になりやすい財産です。財産の詳しい整理は、自己破産で残せる財産・失う財産を確認してください。

免責不許可事由の調査が必要な場合も管財事件になりやすい

浪費、ギャンブル、投資、クレジットカード現金化、詐術による借入れ、財産隠し、虚偽説明、偏頗弁済などが疑われる場合、裁判所だけでなく破産管財人が事情を調査することがあります。

ただし、免責不許可事由がある可能性があるからといって、必ず免責されないわけではありません。現在の家計、反省、再発防止、破産管財人への協力状況などを踏まえて、裁量免責が検討されることがあります。詳しくは、自己破産の免責不許可事由で確認してください。

個人事業主・会社代表者は管財事件を想定して準備する

個人事業主や会社代表者の場合、給与所得者の自己破産よりも確認事項が増えやすくなります。売掛金、在庫、機械、事業用口座、取引先、従業員、賃貸物件、税金、法人との貸し借りなどが関係するためです。

事業をやめた後でも、売掛金が残っている、在庫や設備がある、法人の代表者である、法人破産と同時に申し立てる必要がある、といった事情があれば、管財事件を前提にスケジュールと費用を考える必要があります。

本人申立てでは通常管財扱いになることがあります

少額管財の運用がある裁判所でも、弁護士が代理人として申立てをしていることを前提に、少額管財を利用できる場合があります。本人申立てでは、調査や手続負担の関係で、通常管財として高い予納金が必要になることがあります。

本人申立てを検討している場合は、自己破産の申請方法で、本人申立ての流れと注意点を確認してください。


通常管財と少額管財の違い

管財事件といっても、すべて同じ運用ではありません。裁判所の運用として、通常管財と少額管財と呼ばれる区分が使われることがあります。どちらも破産管財人が選任される管財事件ですが、予納金、手続の進み方、利用条件が異なります。

項目 通常管財 少額管財
位置づけ 一般的な管財事件です。 管財事件のうち、比較的簡易・低廉に進める裁判所運用です。
予納金 負債額や事件内容に応じて高額になりやすいです。 通常管財より低く設定されることが多いです。
利用場面 事業、財産、債権者数、調査事項が複雑な場合などです。 弁護士申立てで、調査事項が一定範囲に収まる場合などです。
手続期間 財産換価や調査が長引くと期間も長くなります。 第1回債権者集会で終結するなど、短く進むことがあります。
注意点 予納金を準備できないと申立てが進みにくくなります。 少額管財を利用できるかは裁判所と事件内容によります。

東京地裁の少額管財や条件、費用、期間の詳細は、自己破産の少額管財で整理しています。この記事では、少額管財を含む管財事件全般の流れと注意点を説明します。

少額管財の条件は全国一律ではありません

少額管財は法律上の統一名称というより、各裁判所の実務運用として説明されることが多い手続です。東京地裁での運用を、すべての裁判所にそのまま当てはめないようにしてください。


管財事件の流れ|申立てから免責確定まで

管財事件では、同時廃止よりも手続が多くなります。大まかな流れを先に把握しておくと、いつまでに何を準備すべきか分かりやすくなります。

段階 主な内容 本人が対応すること
1. 相談・受任通知 弁護士が事情を確認し、債権者へ受任通知を送ります。 借入先、財産、収入、事業、家計を整理します。
2. 書類収集・申立準備 申立書、財産目録、債権者一覧表、陳述書、家計収支表などを作成します。 必要書類を漏れなく集め、通帳の出金理由を説明します。
3. 裁判所への申立て 破産手続開始・免責許可の申立てを行います。 予納金、郵券、補正対応を確認します。
4. 破産手続開始決定・管財人選任 裁判所が破産管財人を選任し、管財事件として開始します。 管財人からの連絡に従い、面談日程や資料を準備します。
5. 管財人面談 財産、債権者、借金の原因、生活状況、免責不許可事由を確認します。 質問に正確に答え、不足資料を提出します。
6. 郵便物転送・財産調査 破産者宛て郵便物の確認、財産の調査、換価が行われます。 郵便物や財産処分について自己判断で動かないようにします。
7. 債権届出・債権調査 債権者からの届出を確認し、債権額や配当の見込みを整理します。 債権者漏れがあれば直ちに弁護士へ伝えます。
8. 債権者集会 破産管財人が管財業務や財産状況を裁判所に報告します。 指定された期日に出席し、必要に応じて質問に答えます。
9. 配当又は廃止・終結 配当できる財産があれば配当し、なければ廃止等で終了します。 管財人の指示に従い、手続終了まで協力します。
10. 免責許可決定・確定 裁判所が免責を判断し、決定が確定します。 免責されない債務や生活再建の注意点を確認します。

管財事件の期間は、財産の換価や免責調査がどの程度必要かによって変わります。第1回債権者集会で終わることもあれば、財産売却、債権回収、相続、否認対象の調査などがあるために、複数回の債権者集会が開かれ、長期化することもあります。手続期間全体は、自己破産の期間も参考にしてください。


破産管財人は何を調べるのか

破産管財人は、破産者の生活をむやみに監視するための存在ではありません。破産財団に属する財産があるか、債権者へ配当できる財産があるか、免責を許可してよいか、手続が公正に進んでいるかを確認する役割を担います。

財産の有無・評価・処分の経緯

管財人は、預貯金、保険、車、不動産、退職金見込額、過払金、相続財産、売掛金、事業用資産などを確認します。申立前に売却した財産、家族名義に移した財産、大きな現金引出しなども確認対象になります。

通帳や郵便物から分かるお金の流れ

通帳の入出金、カード明細、電子マネー、家族口座への送金、給与振込、保険料、税金、家賃などから、財産や債務の漏れがないかを確認します。管財事件では、破産者宛ての郵便物が破産管財人へ転送され、財産や債権者の確認に使われることがあります。

偏頗弁済や財産処分の有無

家族、友人、勤務先、保証人付きの債務、車ローンなど、一部の債権者だけに返済していないかを確認します。偏頗弁済があると、債権者間の公平を害したと見られ、管財人による調査や返還請求の検討につながることがあります。詳しくは、自己破産前の偏頗弁済を確認してください。

免責不許可事由の有無

浪費、ギャンブル、投資、詐術借入れ、財産隠し、虚偽説明、帳簿の不備などがある場合、管財人は、その内容、金額、時期、原因、現在の家計改善状況を確認します。裁判所は、管財人の意見を踏まえて免責の可否を判断します。

債権者一覧表の漏れや債権額

債権者一覧表に漏れがあると、手続の通知や免責の効果に影響することがあります。貸金業者だけでなく、家族、友人、勤務先、後払い、立替金、保証債務も含めて確認します。債権者一覧表の作り方は、自己破産の債権者一覧表を確認してください。


管財人面談で聞かれることと準備

管財事件では、破産手続開始後、破産管財人との面談が行われるのが通常です。面談では、申立書類の内容に沿って、財産、借金の原因、家計、仕事、事業、免責不許可事由などを確認します。

聞かれやすい内容 具体例 準備しておく資料・説明
借金の原因 生活費不足、病気、離職、浪費、ギャンブル、投資、事業失敗など 時系列、金額、原因、現在の改善状況を整理します。
財産 預貯金、保険、車、不動産、退職金、過払金、相続など 査定書、証明書、契約書、通帳、保険資料を準備します。
通帳の大きな出金 現金引出し、家族への送金、決済アプリへのチャージなど 使途、領収書、相手方、生活費との関係を説明します。
一部返済 家族、友人、勤務先、保証人付き債務、車ローンへの返済 返済時期、金額、理由、返済原資を整理します。
事業関係 売掛金、在庫、設備、取引先、税金、従業員、法人との貸し借り 帳簿、請求書、契約書、廃業届、法人資料を準備します。
今後の生活 収入、家計、住居、家族構成、再発防止策 家計収支表、給与資料、支出削減の状況を説明します。

管財人面談では、都合の悪い事情を隠すよりも、早めに正確に説明することが重要です。分からないことを分かったように答えたり、資料と矛盾する説明をしたりすると、追加調査が必要になり、手続が長引くことがあります。

面談前にやるべきこと

面談前には、申立書、陳述書、財産目録、債権者一覧表、家計収支表、通帳の大きな出金を見直しておきます。弁護士に依頼している場合は、面談で聞かれそうな点を事前に確認し、不足資料を早めに出しておきましょう。

必要書類の一覧は、自己破産の必要書類を確認してください。家計収支表の作り方は、自己破産の家計簿で整理しています。


管財事件の費用・予納金の目安

管財事件では、同時廃止より費用が高くなりやすいです。特に大きいのが、破産管財人の報酬に充てられる引継予納金です。弁護士費用とは別に、裁判所費用や予納金が必要になるため、申立て前に見通しを立てる必要があります。

費用項目 管財事件での位置づけ 注意点
申立手数料 破産・免責の申立てに必要な収入印紙です。 金額は申立内容や裁判所の案内で確認します。
官報公告費用 破産手続開始や免責に関する公告費用です。 同時廃止でも管財事件でも必要になります。
郵便切手等 通知や連絡に使われる費用です。 債権者数や裁判所運用で変わります。
引継予納金 破産管財人の報酬等に充てるための費用です。 少額管財では最低20万円程度と説明されることがありますが、裁判所や事件内容で変わります。
通常管財の予納金 負債額や事件規模に応じて高額になることがあります。 本人申立てや複雑な事案では、数十万円以上の予納金が必要になることがあります。
弁護士費用 申立代理人に支払う費用です。 裁判所費用や引継予納金とは別に確認します。

予納金の金額は、裁判所、事件内容、負債額、財産の内容、少額管財を利用できるかによって変わります。東京地裁などの一部の運用だけを全国一律の基準として理解しないことが大切です。費用や予納金の詳しい整理は、自己破産の裁判所費用・予納金を確認してください。

管財事件の予納金を準備できない場合、申立てのタイミングや費用積立、法テラスの利用可否などを検討することになります。費用全体が不安な場合は、自己破産の費用相場も参考にしてください。


管財事件の期間はどのくらいか

管財事件の期間は、同時廃止より長くなりやすいです。破産手続開始決定から第1回債権者集会までに数か月、その後、財産の換価や配当が必要かによって、さらに期間が延びることがあります。

ケース 期間のイメージ 長引く理由
調査事項が少ない少額管財 申立てから免責確定まで数か月から半年程度で進むことがあります。 第1回債権者集会で終結できる場合は比較的短くなります。
財産換価が必要なケース 半年以上かかることがあります。 不動産、車、保険、過払金、相続財産などの換価・回収に時間がかかります。
債権調査や配当が必要なケース 半年から1年以上かかることがあります。 債権額の確認、配当手続、債権者対応が必要になります。
否認対象や財産隠しの疑いがあるケース 長期化しやすいです。 申立前の財産処分や一部返済の調査、回収交渉が必要になります。
事業・法人関係が複雑なケース 1年以上かかることもあります。 売掛金、在庫、契約、従業員、税金、法人財産の整理が必要になります。

期間を短くするためには、申立前から資料をそろえ、通帳の説明を準備し、破産管財人からの質問や追加資料の依頼に早く対応することが重要です。自己破産の期間全体については、自己破産の期間はどのくらいかで整理しています。


管財事件中の生活への影響

管財事件では、破産管財人が選任されるため、同時廃止よりも生活面で注意すべきことが増えます。ただし、生活に必要なものがすべて取り上げられるわけではありません。手続中に何を相談すべきかを理解しておくことが大切です。

郵便物が破産管財人に転送されることがあります

管財事件では、破産者宛ての郵便物が破産管財人に転送されることがあります。これは、隠れた財産、債権者漏れ、保険、請求書、契約関係などを確認するためです。家族宛ての郵便物まで当然に転送されるわけではありませんが、運用や事情によって不安がある場合は、弁護士を通じて確認しましょう。

財産を勝手に処分しない

管財事件では、破産財団に属する財産の管理処分権は破産管財人に移ります。車、保険、不動産、相続財産、売掛金、過払金などについて、自己判断で売却、解約、名義変更、放棄、回収をしないようにしてください。

転居・長期の旅行・出張は事前に相談する

管財事件中は、裁判所や破産管財人からの連絡、面談、債権者集会、郵便物転送などがあるため、転居や長期の旅行・出張をする場合は事前に弁護士へ相談してください。無断で連絡が取れなくなると、手続や免責判断に悪影響が出ることがあります。

新たな借入れや一部返済をしない

管財事件中に新たな借入れをしたり、特定の債権者だけに返済したりすると、手続が混乱します。生活費が不足する場合は、借入れで対応するのではなく、弁護士に家計の状況を共有して対応を検討してください。

債権者集会には原則として出席する

債権者集会では、破産管財人が財産状況や管財業務を報告し、裁判所が手続の進行を確認します。個人の自己破産では、債権者が実際に出席することは多くないものの、破産者本人は指定された期日に出席を求められるのが通常です。裁判所に行く回数は、自己破産で裁判所に行く回数を参考にしてください。


管財事件でやってはいけないこと

管財事件では、破産管財人の調査に協力することが重要です。次のような行動は、管財事件が長引く原因になるだけでなく、免責判断に悪影響が出ることがあります。

  • 財産や債権者を隠す
  • 通帳、カード明細、契約書、請求書などの資料を出さない
  • 破産管財人の質問に虚偽の説明をする
  • 家族や友人だけに返済する
  • 財産を家族名義に変える
  • 車、保険、不動産、相続財産などを自己判断で処分する
  • 破産管財人や裁判所からの連絡を放置する
  • 手続中に新たな借入れをする

財産隠しや債権者漏れは、管財事件への移行や長期化だけでなく、免責不許可、非免責、場合によっては刑事上の問題につながるおそれもあります。詳しくは、自己破産で財産隠し・債権者漏れをするとどうなるかを確認してください。

管財事件を避けるための自己判断が一番危険です

「財産を減らせば管財事件にならない」「家族にだけ返しておけば迷惑をかけない」と考えて動くと、かえって偏頗弁済、財産隠し、不当な財産処分として問題になります。不利な事情ほど、申立前に弁護士へ共有することが重要です。


管財事件をスムーズに進めるための準備

管財事件になりそうな場合でも、準備次第で手続の負担を軽くできることがあります。重要なのは、裁判所や破産管財人が知りたい情報を、申立前から整理しておくことです。

準備すること 目的 関連記事
必要書類を早めにそろえる 補正や追加資料を減らすため 必要書類
通帳の出金理由を説明する 使途不明金や財産隠しの疑いを減らすため 家計簿
財産目録を正確に作る 換価対象や自由財産を判断するため 財産
借金の原因を時系列に整理する 免責不許可事由の有無を判断しやすくするため 陳述書
債権者一覧表の漏れをなくす 通知漏れや免責トラブルを防ぐため 債権者一覧表
予納金を計画的に準備する 申立てや開始決定が遅れないようにするため 裁判所費用・予納金

弁護士に依頼している場合は、破産管財人に提出する資料や面談対応も、弁護士と一緒に準備できます。自分に不利に見える事情ほど、後で発覚するよりも早めに共有した方が、説明方法や必要資料を整理しやすくなります。


自己破産の管財事件でよくある質問

管財事件になると免責されないのですか?

いいえ。管財事件は、破産管財人による調査が必要な手続という意味であり、直ちに免責されないという意味ではありません。財産や免責不許可事由があっても、調査に協力し、家計改善や再発防止を説明できれば、免責許可に進めることがあります。

管財事件になったら家族の財産も調べられますか?

原則として、破産者本人の財産が対象です。ただし、家族名義の口座に本人の収入や財産が移っている、家族に財産を贈与した、家族から借入れがある、家族が保証人であるといった場合は、説明や資料が必要になることがあります。

破産管財人は怖い人ですか?

破産管財人は、裁判所が選任する手続上の立場であり、破産者を責めるための存在ではありません。もっとも、財産や免責について必要な質問をします。事実を隠さず、資料を出し、分からないことは分からないと伝えることが大切です。

管財人面談には弁護士も同席しますか?

弁護士に依頼している場合、管財人面談に申立代理人が同席することが多いです。面談の運用は地域や事件により異なるため、日程や持参資料、当日の流れは事前に確認してください。

債権者集会には債権者が来ますか?

個人の自己破産では、貸金業者やカード会社などの債権者が実際に出席することは多くありません。ただし、債権者が出席して質問や意見を述べることはあります。本人は、指定された期日に出席できるよう準備しておきましょう。

郵便物はいつまで転送されますか?

郵便物の転送期間は、管財業務の必要性や手続の進行によって変わります。手続に関係しない郵便物の返還方法や急ぎの郵便物がある場合は、弁護士を通じて破産管財人に確認します。

管財事件でも家や車を残せますか?

財産の種類、時価、ローン、所有権留保、自由財産の拡張、裁判所の運用によって結論が変わります。必ず失うとも、必ず残せるともいえません。自己判断で名義変更や売却をせず、早めに相談してください。

予納金が払えない場合はどうなりますか?

管財事件の予納金を準備できないと、申立てや開始決定が進みにくくなります。弁護士費用の分割、予納金の積立て、申立時期、法テラス利用の可否などを検討します。費用が不安な場合は、早い段階で見通しを確認することが大切です。

管財事件を避ける方法はありますか?

裁判所が管財事件と判断するかは、財産や調査事項によります。避けることだけを目的に財産を処分したり、一部の債権者だけに返済したりするのは危険です。資料を整え、正確に説明し、調査の必要性を減らすことが現実的な対応です。


まとめ|管財事件は破産管財人への協力と正確な資料提出が重要です

自己破産の管財事件は、破産管財人が選任され、財産、債権者、免責不許可事由などを調査する手続です。同時廃止より費用や期間の負担は大きくなりやすいですが、管財事件になっただけで免責をあきらめる必要はありません。

  • 管財事件は、破産管財人が選任される自己破産手続です。
  • 財産、事業、免責不許可事由、偏頗弁済、財産隠しなどの調査が必要な場合に選ばれやすいです。
  • 通常管財と少額管財では、予納金や手続負担が変わることがあります。
  • 管財事件では、管財人面談、郵便物転送、債権者集会、追加資料提出に誠実に対応する必要があります。
  • 不利な事情を隠さず、申立前から資料と説明を整えることが、免責に向けた重要な準備です。

坂尾陽弁護士

管財事件になりそうかどうかは、借金額だけでは判断できません。財産、家計、事業、借金の原因、申立前の返済や財産処分を一緒に確認し、同時廃止・少額管財・通常管財の見通しを早めに整理しましょう。

関連記事

管財事件の見通しを確認した後は、同時廃止、少額管財、予納金、財産、免責不許可事由もあわせて確認すると、手続全体を整理しやすくなります。

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