自己破産の少額管財とは?東京地裁の条件・費用・期間・流れ

自己破産の少額管財とは、破産管財人を選任する管財事件のうち、通常管財よりも低い予納金と比較的簡略な進行で進められることがある実務上の運用です。東京地裁を中心に説明されることが多い言葉ですが、破産法に「少額管財」という独立した事件類型があるわけではありません。裁判所の運用、申立代理人弁護士の関与、財産・事業・免責調査の内容によって、同時廃止、少額管財、通常管財のどれで進むかが決まります。

  • 少額管財は、管財事件を低額・簡易に進めるための裁判所実務上の運用です。
  • 法律上の分類は、破産管財人が選任される「管財事件」に含まれます。
  • 東京地裁では、弁護士である申立代理人の事前調査を前提に、即日面接や個人管財の運用が重要になります。
  • 東京地裁の令和8年1月1日現在の手続費用一覧では、個人管財事件は最低20万円に加え、個人1件につき20,397円などの基準が示されています。
  • 少額管財にできるかは全国一律ではなく、本人申立て・司法書士書類作成のみ・複雑な事案では通常管財扱いになることがあります。

坂尾陽弁護士

少額管財は「少ない費用で必ず管財事件を済ませられる制度」ではありません。同時廃止にできない事情がある一方で、通常管財ほど重い手続にしなくても調査できる事案について、裁判所の運用として使われることがある手続と考えると理解しやすいです。
(執筆者)弁護士 坂尾陽(Akira Sakao -attorney at law-)

2009年      京都大学法学部卒業
2011年      京都大学法科大学院修了
2011年      司法試験合格
2012年~2016年 森・濱田松本法律事務所所属
2016年~     アイシア法律事務所開業

不倫慰謝料に詳しい坂尾陽弁護士

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自己破産の少額管財とは管財事件を簡易・低額に進める実務運用です

自己破産の少額管財とは、破産管財人が選任される管財事件の一種として、通常管財よりも予納金や手続負担を抑えて進めることがある実務上の運用です。破産管財人は、破産者の財産を調査し、必要に応じて換価し、債権者への配当や免責に関する意見を整理する役割を持ちます。

もっとも、少額管財という名称は、破産法上の正式な独立類型ではありません。法律上は、破産管財人が選任される「管財事件」であり、その中で裁判所が、事案の内容や申立代理人による事前調査の程度を踏まえて、比較的簡易な管財手続として進めることがあります。

手続 位置づけ 大まかな特徴
同時廃止 破産管財人を選任しない手続です。 財産換価や配当を行う実益が乏しいときに、破産手続開始と同時に破産手続を終了します。
少額管財 管財事件のうち、簡易・低額に進むことがある実務運用です。 破産管財人は選任されますが、通常管財より低い予納金で、短期間に終わることがあります。
通常管財 一般的な管財事件です。 財産・事業・債権者・免責調査などが重い場合に、予納金や期間の負担が大きくなりやすいです。
少額管財は同時廃止ではありません

少額管財では破産管財人が選任されます。郵便物の転送、管財人面談、債権者集会、財産調査、免責調査などが行われる可能性があります。「少額」という言葉だけで、何もしなくてよい軽い手続と考えないようにしましょう。

管財事件全般の意味や破産管財人の役割は、自己破産の管財事件で詳しく整理しています。この記事では、少額管財に焦点を当て、東京地裁の運用例、費用、期間、弁護士依頼との関係を中心に説明します。


少額管財と同時廃止・通常管財の違い

少額管財を理解するには、同時廃止と通常管財の間にある手続と考えると分かりやすいです。同時廃止にできるほど単純ではないものの、通常管財として重く進めるほど複雑ではない場合に、少額管財として扱われることがあります。

比較項目 同時廃止 少額管財 通常管財
破産管財人 選任されません。 選任されます。 選任されます。
主な目的 破産手続を開始と同時に廃止し、主に免責手続へ進みます。 財産・免責などを一定範囲で調査します。 財産・事業・債権者・免責などを本格的に調査します。
費用 管財人報酬にあたる予納金は通常不要です。 管財人報酬に充てる引継予納金が必要です。 負債額や事案に応じて高額の予納金が必要になりやすいです。
期間 比較的短く終わることがあります。 数か月で終わることもありますが、調査により延びます。 換価や配当があると半年以上、事案によってはさらに長期化します。
本人の対応 免責審尋や追加資料対応が中心です。 管財人面談、債権者集会、資料提出などが必要です。 管財人への継続的な協力、換価・配当対応、複数回の集会対応が必要になることがあります。
向いている事案 財産や調査事項が少ない事案です。 調査は必要だが、比較的簡易に処理できる事案です。 財産・事業・債権者数・調査事項が複雑な事案です。

同時廃止との違いを詳しく確認したい場合は、自己破産の同時廃止も参考にしてください。少額管財は同時廃止より負担が大きくなりますが、通常管財より費用や期間の負担を抑えられる可能性があります。


東京地裁で少額管財・管財事件になりやすい条件の基本

少額管財になるかどうかは、申立人が自由に選べるものではありません。裁判所が、財産、債権者、事業、免責不許可事由、申立代理人による事前調査の内容などを見て、同時廃止でよいか、管財事件にするか、どの程度の管財手続が必要かを判断します。

東京地裁民事第20部の公表情報では、管財事件として取り扱われる例として、現金が一定額以上ある場合、換価対象資産が一定額以上ある場合、不動産の担保関係により処分実益があり得る場合、資産調査が必要な場合、法人・法人代表者・個人事業者の場合、免責調査を経ることが相当な場合などが挙げられています。

判断要素 管財事件になりやすい方向 少額管財で収まりやすい方向
現金・預貯金 一定額以上の現金や預貯金がある場合 財産の内容が明確で、換価・配当の見通しが複雑でない場合
保険・車・退職金など 解約返戻金、車の価値、退職金見込額などが換価対象になり得る場合 評価資料が整っており、争いや複雑な処分が少ない場合
不動産 売却・担保評価・任意売却の状況確認が必要な場合 明らかなオーバーローンなど、処分実益の説明が整理できる場合
個人事業・法人代表者 売掛金、在庫、店舗、従業員、税金、リースなどの調査が必要な場合 小規模で資料が整い、事業資産や債権者関係が整理されている場合
免責不許可事由 浪費、ギャンブル、投資、詐術借入れ、偏頗弁済、財産処分などの調査が必要な場合 事情説明と資料が整っており、管財人調査で確認できる範囲に収まる場合
債権者・借入経緯 債権者漏れ、家族・友人債務、保証人関係、使途不明金がある場合 債権者一覧表や陳述書で経緯を説明できる場合
東京地裁の基準を全国一律の条件にしないでください

現金や換価対象資産に関する金額の目安、即日面接、個人管財の進め方は、東京地裁の運用例として理解する必要があります。他の裁判所では、金額、予納金、面接、郵券、必要書類、少額管財の有無が異なることがあります。

財産が一定額ある場合は同時廃止ではなく管財事件を検討します

同時廃止は、破産財団で破産手続の費用を支払うこともできないと認められる場合に、破産管財人を選任せずに手続を終えるものです。そのため、現金、預貯金、保険の解約返戻金、車、退職金見込額、相続財産など、換価や配当の対象になり得る財産がある場合は、管財事件が検討されます。

ただし、財産があると必ずすべて失うという意味ではありません。自由財産、自由財産の拡張、ローンや担保の有無、裁判所運用により結論は変わります。財産の扱いは、自己破産で残せる財産・失う財産も確認してください。

免責不許可事由の調査が必要な場合も管財事件になりやすい

浪費、ギャンブル、FX・株・暗号資産などの投資、クレジットカード現金化、財産隠し、虚偽説明、偏った返済などがある場合、裁判所は、免責を許可してよいかを慎重に確認する必要があります。このような事情があると、破産管財人による調査のため、少額管財を含む管財事件になりやすくなります。

免責不許可事由があるからといって、直ちに免責されないわけではありません。重要なのは、事情を隠さず説明し、家計改善や再発防止の状況を示すことです。詳しくは、自己破産の免責不許可事由で整理しています。

個人事業主・法人代表者は少額管財を想定して準備する

個人事業主や法人代表者は、売掛金、在庫、事業用口座、リース、従業員、取引先、税金、法人債務の保証などを確認する必要があります。そのため、給与所得者よりも管財事件になる可能性を想定しておくべきです。

もっとも、事業規模が小さく、帳簿や確定申告書、売掛金・在庫・事業用口座の資料が整っている場合には、少額管財として比較的短期に進められることもあります。個人事業主の手続は、個人事業主・自営業の自己破産も参考にしてください。


少額管財を利用しやすいケース・難しいケース

少額管財は、管財事件である以上、破産管財人による調査が必要なケースで使われます。一方で、通常管財ほど重い調査や換価、訴訟対応を要しないことが前提になりやすいです。

区分 具体例 注意点
利用しやすいケース 一定額の財産があるが、評価資料が整っている 保険証券、車査定、退職金見込額などを早めに準備します。
利用しやすいケース 浪費やギャンブルがあるが、金額・時期・改善状況を説明できる 家計収支表、陳述書、利用明細で具体的に整理します。
利用しやすいケース 個人事業を廃業したが、売掛金・在庫・帳簿が整理されている 確定申告書、帳簿、請求書、通帳をそろえます。
難しいケース 不動産、訴訟、回収困難な債権、否認対象行為などが複雑 通常管財として予納金が増える可能性があります。
難しいケース 財産を隠した疑い、名義変更、使途不明金が大きい 資料や説明が不足すると、調査が長期化しやすくなります。
難しいケース 本人申立て、又は司法書士書類作成のみで弁護士代理人がいない 少額管財の低額・迅速な運用に乗らないことがあります。

少額管財にできるかどうかは、単に借金額で決まるわけではありません。裁判所が見ているのは、財産調査や免責調査をどの程度行う必要があるか、破産管財人がどの程度の業務を担う必要があるかです。


少額管財の費用・予納金の目安

少額管財では、弁護士費用とは別に、裁判所へ納める費用や破産管財人の報酬に充てる予納金が必要になります。金額は裁判所や事案により異なるため、必ず申立先の裁判所の最新情報を確認する必要があります。

東京地裁民事第20部の「破産事件の手続費用一覧(令和8年1月1日現在)」では、個人自己破産及び免責申立ての申立手数料は1,500円、自己破産申立ての予納郵券は4,950円、個人管財事件は最低20万円に加えて個人1件につき20,397円という基準が示されています。中目黒庁舎で現金納付する場合は、個人1件につき21,000円とされています。

費用項目 東京地裁の例 注意点
申立手数料 個人自己破産及び免責申立ては1,500円 収入印紙で納付します。
予納郵券 自己破産申立ては4,950円 郵便料金改定により変わることがあります。
官報公告費用等 個人管財事件は個人1件につき20,397円 現金納付では21,000円とされる場合があります。
引継予納金・管財予納金 個人管財事件は最低20万円が基準 事案により増額されることがあります。
弁護士費用 法律事務所ごとに異なります。 少額管財では、同時廃止より弁護士費用が高くなることがあります。
20万円だけで足りるとは限りません

少額管財でよく見かける「20万円」という金額は、主に破産管財人の報酬に充てる引継予納金の目安として説明されることがあります。実際には、申立手数料、郵券、官報公告費用、弁護士費用、必要書類の取得費用も別に必要です。また、事案が複雑な場合は、予納金が増額されることがあります。

裁判所費用や予納金の内訳は、自己破産の裁判所費用・予納金で詳しく確認できます。費用が不安な場合は、申立て直前ではなく、受任通知後の返済停止期間に積立てが可能か、法テラスを利用できるかなどを早めに検討しましょう。


少額管財の期間はどのくらいか

少額管財の期間は、申立てから免責確定まで数か月程度で進むことがあります。東京地裁などでは、弁護士申立てを前提に、申立て後の面接、開始決定、管財人面談、債権者集会、免責許可決定へと比較的早く進むケースがあります。

ただし、期間は固定ではありません。財産の換価に時間がかかる、通帳の出金理由が不明、債権者漏れがある、相続や不動産がある、事業資産や売掛金の整理が必要、免責不許可事由の調査が重いといった場合には、債権者集会が続行され、半年以上かかることもあります。

段階 期間の目安 長期化しやすい事情
相談・受任から申立てまで 資料収集と費用準備に数か月かかることがあります。 通帳、保険、退職金、事業資料、家計表が不足している場合
申立てから開始決定まで 東京地裁では面接運用により早期に進むことがあります。 補正、資料不足、事件類型の判断に時間がかかる場合
開始決定から第1回債権者集会まで おおむね数か月程度が目安になります。 管財人調査、財産換価、債権調査に時間がかかる場合
免責許可決定から確定まで 決定後、確定までの期間を見込む必要があります。 債権者の意見、即時抗告などがある場合

自己破産全体の期間は、起算点を分けて考えることが大切です。弁護士依頼から申立てまで、申立てから開始決定まで、開始決定から免責確定までを混同しないようにしましょう。詳しくは、自己破産の期間も参考にしてください。


少額管財の流れ|相談から免責確定まで

少額管財は、同時廃止よりも関係者が増え、対応すべき手続も多くなります。大まかな流れを先に把握しておくと、どの時点で何を準備するのかが分かりやすくなります。

流れ 主な内容 本人が準備すること
1. 弁護士相談・方針確認 借金、財産、収入、事業、借入経緯を確認します。 債権者、通帳、財産資料、家計、事業資料を持参します。
2. 受任通知・返済停止 弁護士が債権者へ受任通知を送り、返済を停止します。 新たな借入れや一部返済をしないよう注意します。
3. 書類収集・申立書作成 申立書、財産目録、債権者一覧表、陳述書、家計収支表を作成します。 資料不足や説明の矛盾をなくします。
4. 裁判所への申立て・面接 裁判所に申立てを行い、東京地裁では申立代理人との面接運用があります。 弁護士に不利な事情も含めて正確に共有します。
5. 破産手続開始・管財人選任 破産管財人が選任され、郵便物転送などが始まることがあります。 管財人からの連絡や資料依頼に対応します。
6. 管財人面談・調査 財産、通帳、借入経緯、免責不許可事由などを確認します。 質問には正確に答え、追加資料を期限内に提出します。
7. 債権者集会 管財人が調査結果を報告し、免責について意見を述べます。 指定された期日に出席します。
8. 免責許可決定・確定 裁判所が免責を許可するか判断し、確定により支払義務から解放されます。 免責後も非免責債権や生活再建に注意します。

申立ての方法や必要書類は、自己破産の申請方法自己破産の必要書類もあわせて確認すると整理しやすくなります。


少額管財と弁護士依頼の関係

少額管財では、弁護士である申立代理人の関与が重要です。東京地裁の即日面接の説明でも、弁護士である申立代理人への信頼を基礎とし、申立代理人が事前に十分な調査を行っていることを前提に、裁判官が問題点を確認するとされています。

これは、申立代理人弁護士が、債権者、財産、家計、借入経緯、免責不許可事由などを整理したうえで申立てを行うため、裁判所や破産管財人の調査負担を一定程度軽くできるという考え方に基づきます。その結果、通常管財より低い予納金や迅速な進行につながることがあります。

申立て方法 少額管財との関係 注意点
弁護士代理 少額管財の運用に乗りやすい前提になります。 弁護士が事前調査、書類作成、面接対応、管財人対応を行います。
司法書士書類作成 弁護士代理とは扱いが異なることがあります。 裁判所対応や管財人対応を本人が行う場面が増えます。
本人申立て 少額管財の低額運用にならず、通常管財の予納金基準が問題になることがあります。 書類不備、債権者漏れ、財産説明不足があると手続負担が大きくなります。
本人申立てで少額管財を当然に使えるとは考えない

少額管財は、弁護士代理人による事前調査と裁判所運用を前提に説明されることが多い手続です。本人申立てや司法書士書類作成のみの場合、申立先裁判所でどのような扱いになるかを必ず確認してください。

本人申立てのリスクは、自己破産は自分でできる?でも整理しています。少額管財が想定される事案では、予納金だけでなく、弁護士費用を含めた総額と手続負担を比較することが大切です。


破産管財人は少額管財で何を調べるのか

少額管財でも、破産管財人が選任される以上、財産や免責に関する調査は行われます。通常管財より簡易に進むことがあっても、調査そのものがなくなるわけではありません。

調査対象 確認されやすい内容 準備資料の例
財産 預貯金、現金、保険、車、退職金、不動産、相続財産など 通帳、保険証券、解約返戻金証明、車査定、退職金証明、不動産資料
通帳の動き 大きな出金、家族への送金、現金引出し、投資・ギャンブル利用 通帳コピー、使途説明メモ、領収書、家計収支表
偏頗弁済 家族、友人、勤務先、保証人付き債務だけを優先して返済していないか 返済履歴、振込記録、借用書、保証関係資料
財産処分 車や保険、不動産、貴金属などを安く売ったり、名義変更したりしていないか 売買契約書、査定書、入金記録、処分理由の説明
免責不許可事由 浪費、ギャンブル、投資、詐術借入れ、虚偽説明など 陳述書、利用明細、取引履歴、反省・改善状況の資料
債権者 債権者一覧表に漏れがないか、保証人や家族債務があるか 債権者一覧表、請求書、督促状、信用情報、保証契約資料

偏った返済や財産隠しは、少額管財で特に問題になりやすい論点です。詳しくは、自己破産前の偏頗弁済財産隠し・債権者漏れのリスクも確認してください。


少額管財をスムーズに進めるための準備

少額管財では、申立前の準備が手続全体の長さを左右します。資料が整っており、説明に矛盾が少ないほど、裁判所や破産管財人が確認しやすくなります。

準備すること 理由 関連ページ
必要書類を早めにそろえる 資料不足があると補正や管財人調査が長引くためです。 必要書類
家計収支表を実態に合わせて作る 浪費や再発防止の確認に使われるためです。 家計簿
陳述書で借金の経緯を時系列に整理する 借入理由や免責不許可事由を説明するためです。 陳述書
債権者一覧表を正確に作る 通知漏れや免責後のトラブルを防ぐためです。 債権者一覧表
通帳の出金理由を説明できるようにする 使途不明金や財産隠しの疑いを減らすためです。 家計収支表
予納金を積み立てる 予納金不足で申立てや開始決定が遅れるのを防ぐためです。 費用が払えないとき

不利な事情ほど早めに弁護士へ伝える

浪費、ギャンブル、家族への返済、財産処分、口座からの大きな出金などは、言いにくい事情かもしれません。しかし、申立後に破産管財人が通帳や資料から発見するよりも、申立前に弁護士へ共有し、説明と資料を準備しておく方が、手続上のリスクを下げやすくなります。

少額管財にするための財産処分は避ける

少額管財や同時廃止にしたいからといって、申立前に財産を安く売る、家族名義に移す、一部の債権者だけ返す、現金を引き出して使うといった行動は危険です。かえって財産隠し、偏頗弁済、免責不許可事由として問題になり、通常管財や免責調査の長期化につながることがあります。


東京地裁の少額管財と地域差

少額管財は、東京地裁を中心に説明されることが多い実務運用ですが、すべての裁判所で同じ名称・同じ金額・同じ進行が採用されているわけではありません。東京地裁では、倒産部である民事第20部が破産事件を扱い、即日面接や個人管財の運用、費用表、必要書類等を公表しています。

東京地裁では、弁護士である申立代理人との面接が重要な役割を持ちます。申立書受付日当日及びその翌日から3開庁日以内に面接を行う運用が説明されており、現在の運用では電話面接が原則とされています。ただし、運用は変更される可能性があるため、公開情報と申立時点の実務を確認する必要があります。

確認項目 東京地裁の例 他地域での注意点
名称 少額管財、個人管財などの言葉で説明されることがあります。 裁判所により名称や分類が異なることがあります。
予納金 個人管財事件の最低20万円などの基準があります。 金額、納付方法、郵券、官報公告費用は地域ごとに異なります。
面接 申立代理人との即日面接運用があります。 面接の有無、方法、期限は裁判所により異なります。
本人申立て 弁護士代理の運用と異なる基準が問題になります。 本人申立てで少額管財を使えるかは必ず確認が必要です。
必要書類 東京地裁の書式・補充メモ等があります。 申立先裁判所の書式を使う必要があります。

東京地裁での申立て、即日面接、同時廃止・少額管財の詳しい運用は、東京地裁の自己破産手続で別途整理しています。東京で弁護士相談を検討している方は、東京で自己破産を弁護士に相談も参考にしてください。


少額管財でやってはいけないこと

少額管財を希望する場合でも、手続を軽く見せるための行動は避ける必要があります。破産手続では、債権者間の公平、財産の正確な開示、裁判所や破産管財人への誠実な説明が重要です。

  • 家族や友人だけに返済する
  • 車、保険、不動産、貴金属などを勝手に売る
  • 財産を家族名義に移す
  • 通帳から大きな現金を引き出し、使途を説明できない状態にする
  • 債権者一覧表から家族・友人・勤務先を外す
  • ギャンブル、投資、クレジットカード利用を続ける
  • 破産管財人からの連絡や追加資料提出を放置する

これらの行動は、少額管財で済むかどうかだけでなく、免責許可にも影響します。不安な事情がある場合は、自己判断で処理せず、申立前に弁護士へ相談してください。


自己破産の少額管財でよくある質問

少額管財になれば必ず免責されますか?

いいえ。少額管財は、管財事件を簡易・低額に進めることがある実務運用であり、免責を保証するものではありません。破産管財人の調査、債権者の意見、本人の説明、家計改善の状況などを踏まえて、裁判所が免責を判断します。

少額管財は弁護士なしでも利用できますか?

一般に、少額管財は申立代理人弁護士の事前調査を前提に説明されることが多い手続です。本人申立てや司法書士書類作成のみの場合、同じ低額・迅速な運用にならないことがあります。申立先裁判所の扱いを確認してください。

東京地裁の少額管財の予納金は20万円だけですか?

20万円は、個人管財事件で最低額として説明されることがある管財予納金の目安です。実際には、申立手数料、予納郵券、官報公告費用等、弁護士費用が別に必要です。東京地裁の令和8年1月1日現在の費用表では、個人管財事件について最低20万円に加え、個人1件につき20,397円などの基準が示されています。

少額管財の予納金が払えない場合はどうなりますか?

予納金を準備できないと、管財事件として申立てを進めにくくなることがあります。弁護士費用の分割、受任通知後の積立て、法テラス利用の可否、申立時期の調整などを早めに検討します。予納金を避けるために財産処分や一部返済をするのは危険です。

少額管財の期間は何か月ですか?

数か月程度で終わることもありますが、事案により異なります。財産換価、債権者対応、事業関係、通帳の使途不明金、免責不許可事由の調査があると長期化します。弁護士依頼から申立てまでの準備期間も含めて見通しを立てましょう。

東京以外でも少額管財は使えますか?

少額管財又はこれに類する低額管財の運用を採用している裁判所もありますが、名称、条件、予納金、書類、面接の方法は地域により異なります。東京地裁の金額や条件を、全国一律の基準として考えないようにしてください。

財産が33万円や20万円を超えると全部取られますか?

必ず全部取られるという意味ではありません。これらは、東京地裁の管財事件振分けの目安として説明されることがある数値であり、財産の種類、自由財産、自由財産の拡張、担保やローン、裁判所運用により扱いは変わります。

同時廃止で申し立てた後に少額管財へ変わることはありますか?

あります。同時廃止を希望して申立てをしても、裁判所が財産調査や免責調査が必要と判断すれば、少額管財を含む管財事件に振り分けられることがあります。希望する手続ではなく、資料と事案に基づく裁判所判断が優先されます。

少額管財でも家族や勤務先に知られますか?

家族や勤務先に当然通知されるわけではありません。ただし、家族が債権者・保証人である、家族名義の財産や口座に本人資金が移っている、勤務先から借入れがある、退職金見込額の証明が必要になるといった場合は、関係資料の取得や説明が必要になることがあります。


まとめ|少額管財は東京地裁の運用と弁護士代理・予納金準備が重要です

自己破産の少額管財は、破産管財人が選任される管財事件のうち、通常管財よりも簡易・低額に進められることがある実務上の運用です。東京地裁で説明されることが多い手続ですが、法律上の独立した事件類型ではなく、裁判所ごとの運用差があります。

  • 少額管財は管財事件に含まれ、破産管財人が選任されます。
  • 同時廃止にできない財産・事業・免責調査がある場合に検討されます。
  • 弁護士である申立代理人の事前調査が、少額管財の低額・迅速な運用の前提になりやすいです。
  • 東京地裁の費用例では、個人管財事件について最低20万円に加え、官報公告費用等の基準額が示されています。
  • 東京地裁の金額や振分け基準を全国一律に考えず、申立先裁判所と事案に応じて確認することが大切です。

坂尾陽弁護士

少額管財になる可能性がある事案では、予納金をどう準備するか、どの資料をいつまでにそろえるか、管財人に何を説明するかを早めに決める必要があります。財産や借入経緯に不安がある場合ほど、申立前の整理が重要です。

関連記事

少額管財の見通しを確認した後は、管財事件、同時廃止、予納金、必要書類、免責不許可事由、東京地裁の運用もあわせて確認すると、申立準備を進めやすくなります。

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