自己破産すると保証人・連帯保証人はどうなる?請求・一括返済・対処法

連帯保証人がいる借金について自己破産を考えるとき、最初に押さえるべき結論は、主債務者が自己破産して免責を受けても、保証人・連帯保証人の支払義務は当然にはなくならないという点です。破産法253条2項は、免責許可決定が保証人などに対して債権者が持つ権利に影響しないと定めています。そのため、本人の返済義務が免責されても、債権者は保証人や連帯保証人へ請求できます。

一方で、「保証人が自己破産する場合」は別の問題です。保証人自身が破産する場合、保証債務も原則としてその人の債務として手続に含めます。ただし、主債務者や他の保証人への通知、契約上の期限の利益喪失、代わりの保証人の要否など、周囲への影響を事前に確認する必要があります。

この記事では、主債務者が自己破産した場合の保証人への影響、連帯保証人への一括請求、保証人自身が請求を受けたときの対処法、保証人に迷惑をかけないために避けるべき行動を整理します。

  • 主債務者が自己破産しても、保証人・連帯保証人の責任は原則として残ります。
  • 連帯保証人は、債権者から残額全体の一括請求を受けることがあります。
  • 保証人付きの借金だけを返す、保証人を債権者一覧から外す、保証人へ資金を移す行動は危険です。
  • 保証人が請求を受けた場合は、契約書・請求額・遅延損害金・時効・分割交渉の余地を確認します。
  • 保証人自身が自己破産する場合も、保証債務を漏らさず申告する必要があります。

坂尾陽弁護士

保証人に迷惑をかけたくない気持ちから、保証人付きの借金だけを隠したり先に返したりすると、かえって破産手続が難しくなることがあります。まずは契約書と保証人の有無を整理し、弁護士に正確に伝えることが大切です。
(執筆者)弁護士 坂尾陽(Akira Sakao -attorney at law-)

2009年      京都大学法学部卒業
2011年      京都大学法科大学院修了
2011年      司法試験合格
2012年~2016年 森・濱田松本法律事務所所属
2016年~     アイシア法律事務所開業

不倫慰謝料に詳しい坂尾陽弁護士

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自己破産と保証人の問題は二つのケースに分けて考える

自己破産と保証人の問題は、次の二つを分けて考える必要があります。

ケース 何が問題になるか 主な注意点
主債務者が自己破産する場合 本人の借金について、保証人・連帯保証人へ請求が行く可能性があります。 本人の免責は保証人に及ばないため、保証人への一括請求や分割交渉を見越して準備します。
保証人・連帯保証人自身が自己破産する場合 他人の借金を保証している債務を、自分の破産手続に含める必要があります。 債権者から主債務者へ連絡される可能性があり、契約によっては代わりの保証人や追加担保が問題になります。

検索では「自己破産すると保証人はどうなる」という表現で調べられることが多いですが、主債務者側の相談なのか、保証人側の相談なのかで結論と初動が変わります。

主債務者側では、保証人へ請求が移ることを前提に、保証人への説明、保証人付き債務をどう扱うか、自己破産以外の整理方法を検討します。保証人側では、請求額が正しいか、分割払いができるか、保証人自身も債務整理が必要かを確認します。

MEMO

この記事でいう「保証人」には、通常の保証人のほか、連帯保証人、連帯債務者、物上保証人など、本人以外の人が債務の支払い又は担保提供に関わる場面を含めて説明します。契約上の立場により権利義務は変わるため、最終的には契約書で確認してください。


主債務者が自己破産しても保証人・連帯保証人の責任は残る

主債務者が自己破産して免責許可決定を受けると、本人は原則として破産債権について強制的に支払わされる責任を免れます。しかし、その効果は本人のためのものであり、保証人や連帯保証人が債権者に対して負っている責任まで当然に消すものではありません。

保証人は、主債務者が支払えない場合に代わって支払うことを約束した人です。債権者から見ると、主債務者が破産して回収できなくなる場面に備えるための制度が保証です。そのため、本人が免責されたからといって、保証人に対する請求まで失われるわけではありません。

免責の効力は保証人に及ばない

破産法253条2項は、免責許可決定が、破産債権者が破産者の保証人その他破産者と共に債務を負担する者に対して有する権利に影響を及ぼさないと定めています。つまり、本人が自己破産しても、保証人・連帯保証人への請求権は残ります。

この点は、保証人側にとって大きな負担です。本人が「自己破産すれば借金がなくなる」と理解していても、保証人にとっては、本人の自己破産をきっかけに請求が現実化することがあります。

連帯保証人には残額全体の請求が行くことがある

多くの借入契約では、主債務者が支払いを止めたり、期限の利益を失ったり、破産手続に入ったりした場合に、分割払いではなく残額全体を支払う状態になります。その結果、債権者は連帯保証人に対して、残元金、利息、遅延損害金などをまとめて請求することがあります。

ただし、実際に一括請求になるか、分割交渉に応じてもらえるか、遅延損害金をどこまで請求されるかは、契約内容、債権者の方針、保証人の収入・資産、これまでの返済状況によって変わります。請求書が届いた段階で、金額をそのまま認めるのではなく、契約書と明細を確認しましょう。

最高裁平成11年11月9日判決も保証人関係の注意点を示している

最高裁平成11年11月9日判決は、主債務者が免責決定を受けた債務について、保証人がその債権の消滅時効を援用できるかが問題になった事案で、保証人による時効援用を否定しました。時効の細かな判断は事案によりますが、本人の免責後も保証人関係が単純に消えるわけではないことを示す裁判例として重要です。

したがって、保証人・連帯保証人がいる場合は、「本人が破産するから、保証人も当然に払わなくてよい」と考えず、保証契約、請求額、時効、分割交渉の余地を個別に確認する必要があります。


保証人と連帯保証人の違い

自己破産の相談では、「保証人」と「連帯保証人」が同じ意味で使われることがあります。しかし、法律上は責任の重さが異なります。契約書に「連帯保証人」と書かれているかは、必ず確認してください。

項目 通常の保証人 連帯保証人
債権者からの請求 原則として、まず主債務者に請求するよう求められる場合があります。 債権者は、主債務者に先に請求しなくても、連帯保証人へ請求できます。
主債務者の財産を先に差し押さえるよう求める権利 主債務者に弁済資力があり、執行が容易であることを証明できれば主張できる場合があります。 原則としてこの主張はできません。
複数保証人がいる場合 分別の利益が問題になることがあります。 各連帯保証人が全額について請求対象になることがあります。
実務上の負担 契約内容によりますが、連帯保証よりは防御の余地がある場合があります。 実質的に主債務者に近い責任を負うため、請求を受けたときの負担が大きくなりやすいです。

もっとも、主債務者が破産手続開始決定を受けた場合、通常の保証人であっても、主債務者へ先に請求するよう求めることができない場面があります。また、保証人が主債務者の財産を先に執行すべきだと主張するには、主債務者に弁済資力があり、執行が容易であることを具体的に示す必要があります。

実際の借入れでは、単なる保証人ではなく連帯保証人とされていることが多くあります。特に、事業資金、住宅ローン、奨学金、賃貸借契約では、契約書上の表記を確認することが重要です。

注意

「名前を貸しただけ」「家族だから形式的に署名しただけ」という事情があっても、契約書上連帯保証人になっていれば、債権者から請求を受ける可能性があります。保証契約の有効性に疑問がある場合も、自己判断で放置せず、契約書を持って相談してください。


保証人に影響が出やすい借金の種類

すべての借金に保証人が付いているわけではありません。消費者金融、クレジットカード、カードローンでは保証人がいないことも多い一方、次のような債務では保証人・連帯保証人が問題になりやすくなります。

  • 奨学金:人的保証を選んでいる場合、連帯保証人や保証人に請求が行くことがあります。
  • 事業資金・会社借入れ:代表者、配偶者、親族が連帯保証人になっていることがあります。
  • 住宅ローン:配偶者や親族が連帯保証人、連帯債務者、物上保証人になっていることがあります。持ち家への影響は住宅ローン・持ち家の扱いも確認します。
  • 賃貸借契約:家賃や原状回復費用について、連帯保証人又は保証会社が関係することがあります。
  • 車ローン・高額商品のローン:家族が保証人になっている場合、残債の請求や物件引上げが問題になります。

奨学金は人的保証か機関保証かで影響が変わる

奨学金では、人的保証を選んでいる場合、親族などが連帯保証人・保証人になっていることがあります。本人が返還できなくなり自己破産をすると、連帯保証人や保証人へ返還請求が行く可能性があります。

一方、機関保証の場合は、親族の連帯保証人・保証人を立てない制度です。ただし、機関保証だから何も起こらないわけではなく、保証機関が代位弁済した後に本人へ求償する流れになることがあります。奨学金がある場合は、人的保証か機関保証かを必ず確認しましょう。奨学金固有の制度は、奨学金を自己破産するとどうなる?人的保証・機関保証・JASSO制度で詳しく整理します。

事業資金の連帯保証は代表者や家族の生活に直結しやすい

個人事業主や会社経営者の場合、事業資金の借入れについて代表者や親族が連帯保証人になっていることがあります。主債務者が破産すると、保証人へ高額の請求が行く可能性があり、保証人自身も自己破産や個人再生を検討せざるを得ないことがあります。

また、個人が事業用融資の保証人になる場合には、民法改正により保証意思宣明公正証書が必要になる場面があります。契約時期、主債務者との関係、事業への関与の有無によって扱いが変わるため、保証契約の有効性も含めて確認することがあります。会社破産や経営者保証は、会社破産で経営者保証・連帯保証はどうなる?も確認してください。

賃貸借や継続取引の個人根保証では極度額を確認する

賃貸借契約や継続取引の保証では、将来発生する不特定の債務を保証する「根保証」が問題になります。個人が根保証人になる契約では、保証人が責任を負う上限である極度額が重要です。極度額の記載がない契約、契約時期が古い契約、法人が保証人になっている契約などで結論が変わることがあります。

家賃滞納や賃貸保証会社との関係は、家賃滞納は自己破産で免責されるかでも詳しく整理しています。


保証人に迷惑をかけないためにやってはいけないこと

保証人に迷惑をかけたくないと考えるのは自然です。しかし、自己破産の直前に一部の債権者だけを優先すると、破産手続では問題視されることがあります。保証人を守るつもりの行動が、本人の免責や管財事件化のリスクを高めることがあります。

保証人付きの借金だけを返済する

自己破産を予定しているのに、保証人付きの借金だけを返済する行為は、偏頗弁済として問題になる可能性があります。偏頗弁済とは、一部の債権者だけを不公平に優先して返済することです。

たとえば、親が連帯保証人になっている借金だけを返す、友人が保証人になっている借金だけを完済する、車ローンだけを支払って他の借金を止めるといった行動は、破産管財人による否認や、免責不許可事由の検討につながることがあります。詳しくは、自己破産前の偏頗弁済のリスクも確認してください。

保証人へお金を渡して代わりに払ってもらう

保証人が自分の資金と判断で債権者と交渉し、支払うこと自体は、本人が一部債権者へ返済する場合とは別の問題です。しかし、本人が保証人へ資金を渡し、そのお金で特定の借金を返してもらうと、実質的には本人による優先返済と評価されるおそれがあります。

第三者弁済、使途を指定した借入れ、親族からの立替えは、事案により評価が変わります。保証人に支払いを依頼する前に、必ず弁護士へ相談してください。

保証人付きの債権を債権者一覧表から外す

保証人に知られたくないからといって、保証人付きの借金を債権者一覧表から外すことはできません。自己破産では、原則としてすべての債権者を申告する必要があります。保証人が付いているか、家族が債権者か、友人からの借入れかによって、申告義務がなくなるわけではありません。

債権者漏れは、手続の遅れ、追加説明、免責への影響、免責後の請求リスクにつながります。債権者一覧表の扱いは、自己破産の債権者一覧表の書き方で整理しています。

財産名義を変えて保証人への支払い原資を作る

破産直前に財産を家族名義へ移す、車や預金を保証人名義にする、返済資金を隠すといった行為は、財産隠しや不自然な資産移転として問題になることがあります。保証人への配慮であっても、破産手続では債権者全体の公平が重視されます。

財産移転や債権者漏れがある場合は、発覚してからではなく、申立て前に弁護士へ正直に伝えて訂正方法を検討しましょう。詳しくは、自己破産で財産隠し・債権者漏れをした場合のリスクを確認してください。


主債務者が自己破産を検討するときの対処法

保証人がいる場合でも、返済不能であれば自己破産を検討せざるを得ないことがあります。その場合は、保証人への影響をゼロにすることよりも、影響を早く把握し、混乱を小さくすることが重要です。

保証人の有無と契約上の立場を確認する

まず、借入先ごとに保証人の有無を確認します。契約書、申込書、保証委託契約書、奨学金の保証制度、賃貸借契約書、ローン契約書を集め、誰がどの立場で署名しているかを見ます。

  • 保証人なのか連帯保証人なのか:連帯保証人であれば、債権者から直接全額請求される可能性が高くなります。
  • 連帯債務者なのか:住宅ローンなどでは、保証ではなく共同で借入れをしていることがあります。
  • 物上保証人なのか:自分の不動産などを担保に入れているだけで、支払義務の範囲が異なることがあります。
  • 保証会社なのか親族なのか:保証会社が関係する場合、代位弁済後の求償請求が問題になります。

保証人へ説明する順番を決める

保証人に請求が行く可能性が高い場合、債権者から突然通知が届く前に、本人から状況を説明した方が関係悪化を避けやすいことがあります。ただし、感情的な話し合いだけで「自分が何とか払う」と約束したり、無理な返済計画を作ったりすると、かえって手続が複雑になることがあります。

保証人へ説明する前に、弁護士と次の点を整理しておくと、話し合いがしやすくなります。

  • 請求される可能性がある債権者と概算額:どの借金について、誰に、いくら請求される可能性があるかを整理します。
  • 通知が届くタイミング:受任通知、破産申立て、期限の利益喪失などで連絡時期が変わります。
  • 保証人側の選択肢:分割交渉、任意整理、個人再生、自己破産などの候補を確認します。
  • 本人がしてはいけない支払い:保証人だけを優先する返済や財産移転を避ける必要があります。

自己破産以外の方法で保証人への請求を抑えられるか検討する

保証人への影響を避けたい場合、自己破産ではなく任意整理で返済を続ける選択肢が検討されることがあります。任意整理では、対象とする債権者を選んで交渉できるため、保証人付きの債務を返済継続にする設計が可能な場合があります。

ただし、収入や家計から見て返済継続が難しいのに、保証人への影響だけを理由に無理な任意整理をすると、数か月後に再び支払不能になることがあります。個人再生も、本人の返済額を圧縮できる可能性はありますが、その効果は保証人には及ばないため、保証人への請求リスクを完全に避けられるわけではありません。

自己破産、任意整理、個人再生のどれが現実的かは、借金総額、保証人付き債務の割合、収入、家計、財産、住宅ローンの有無で変わります。自己破産の基本条件は、自己破産できる条件も参考にしてください。


保証人・連帯保証人が請求を受けたときの対処法

保証人・連帯保証人に請求書や督促状が届いた場合、慌てて支払う前に、請求の根拠と金額を確認しましょう。保証人側にも、分割交渉、債務整理、時効や契約内容の確認など、検討すべき点があります。

契約書と請求明細を確認する

まず、保証契約書、主債務の契約書、返済予定表、残高明細、遅延損害金の計算書を確認します。保証人になった記憶があっても、保証の範囲や上限、契約日、署名押印、保証意思確認の要否は契約によって異なります。

  • 保証した債務の範囲:元金だけでなく、利息・遅延損害金・費用まで含むかを確認します。
  • 保証の上限:個人根保証では極度額の記載が重要です。
  • 期限の利益喪失の有無:なぜ一括請求になっているのかを確認します。
  • 時効や過去の訴訟の有無:過去の判決、支払合意、差押えがあると判断が変わります。
  • 他の保証人の有無:複数人いる場合の負担関係や求償の可能性を確認します。

分割払いの交渉をする

一括請求を受けても、すぐに全額を支払えない場合は、債権者へ分割払いを交渉できることがあります。債権者が必ず応じるわけではありませんが、保証人の収入、資産、家計、支払可能額を示して交渉することで、現実的な支払計画にできる場合があります。

ただし、安易に公正証書や和解書を作ると、支払いが遅れたときに強制執行を受けやすくなることがあります。分割案を出す前に、毎月いくらなら継続できるか、他の借金も含めて家計を確認しましょう。

保証人自身も債務整理を検討する

保証債務が大きく、分割交渉でも支払えない場合は、保証人自身が債務整理を検討することになります。保証人の収入や財産によって、任意整理、個人再生、自己破産のいずれが適切かが変わります。

保証人が自己破産をする場合、保証債務だけでなく、保証人自身のクレジットカード、ローン、税金、家賃、養育費なども含めて整理する必要があります。自己破産の免責対象にならない債務がある場合は、自己破産で免責されない借金も確認してください。

保証人が支払った後の求償権を理解する

保証人が債権者へ支払った場合、原則として主債務者に対して求償できることがあります。もっとも、主債務者がすでに自己破産して免責を受けると、保証人の求償権も破産手続上の債権として扱われ、実際の回収は難しくなることが少なくありません。

保証人側から見ると、「代わりに払ったら本人に返してもらえる」と期待していても、本人の破産手続後は回収できない可能性があるということです。支払う前に、求償の見込み、他の保証人への請求、債権者との交渉方針を確認しましょう。


保証人自身が自己破産するとどうなるか

保証人自身が返済できない場合、保証債務も自己破産の対象になります。たとえば、親が子どもの奨学金の保証人になっている場合、会社代表者が会社借入れの連帯保証人になっている場合、配偶者が住宅ローンの連帯保証人になっている場合でも、保証人自身が支払不能であれば自己破産を検討することがあります。

まだ請求されていない保証債務も申告する

保証人としての支払請求がまだ来ていない場合でも、保証契約をしている以上、将来請求される可能性があります。そのため、保証債務があることを弁護士に伝え、債権者一覧表や申立書類でどのように扱うかを確認する必要があります。

「主債務者が今は返しているから大丈夫」「まだ請求が来ていないから書かなくてよい」と考えて申告しないと、後で債権者漏れの問題になることがあります。保証人になっている借金は、金額が未確定でも隠さず伝えましょう。

主債務者や他の保証人に通知される可能性がある

保証人が自己破産すると、債権者は保証人からの回収が難しくなるため、主債務者や他の保証人へ連絡することがあります。契約によっては、保証人の破産が期限の利益喪失事由、保証人変更事由、追加担保の請求事由になっていることもあります。

特に奨学金、住宅ローン、事業資金では、主債務者の返済が続いていても、保証人の破産によって手続上の連絡や保証人変更の問題が生じることがあります。保証人自身が自己破産する場合も、周囲への影響を事前に確認しましょう。

保証人の免責は主債務者の返済義務を消すものではない

保証人が免責を受けると、保証人自身は保証債務について原則として責任を免れます。しかし、主債務者自身の返済義務まで消えるわけではありません。主債務者が返済を続けているなら、その返済義務は主債務者の問題として残ります。

また、他にも連帯保証人がいる場合、債権者が他の連帯保証人へ請求することがあります。保証人の自己破産は、保証人本人の生活再建には有効ですが、主債務者や他の保証人との関係を整理しながら進める必要があります。


保証人がいる場合の相談前チェックリスト

保証人がいる借金の自己破産では、相談時に情報が不足していると、保証人への影響や手続上のリスクを見落としやすくなります。弁護士へ相談する前に、次の資料と事情をできる範囲で整理しましょう。

  • 借入先ごとの契約書・申込書:保証人、連帯保証人、連帯債務者の記載を確認します。
  • 保証人の氏名・住所・本人との関係:親、配偶者、友人、会社関係者などを整理します。
  • 現在の残高と滞納状況:元金、利息、遅延損害金、最終返済日を確認します。
  • 保証人への説明状況:すでに話したか、まだ話していないか、債権者から連絡が来ているかを確認します。
  • 保証人の支払能力:保証人が分割で払える可能性があるか、保証人自身も債務整理が必要かを検討します。
  • 直近の返済・資金移動:保証人付き債務だけの返済、親族への送金、財産名義変更がないかを確認します。

資料がすべてそろっていなくても相談はできます。ただし、保証人がいる可能性を隠さず、分かる範囲で早めに伝えることが重要です。後から保証人付き債務が見つかると、申立書類の訂正や保証人への説明が遅れます。

坂尾陽弁護士

保証人がいるか分からないときは、契約書がなくても、借入先名・借入時期・誰が署名した記憶があるかをメモして相談してください。保証人の有無は、破産方針を決める重要な情報です。

よくある質問

自己破産をしても保証人に請求が行かないようにできますか?

保証人・連帯保証人がいる債務を自己破産に含めると、債権者から保証人へ請求が行く可能性があります。本人の免責は保証人に及ばないため、保証人への請求を法律上完全に止めることは原則としてできません。保証人への影響を避けたい場合は、自己破産以外の方法で返済を続けられるかを検討します。

保証人付きの借金だけ自己破産から外せますか?

できません。自己破産では、原則としてすべての債権者を申告する必要があります。保証人に知られたくないからといって、保証人付きの借金だけを外すと、債権者漏れや虚偽説明の問題になります。

保証人が一括請求されたら必ず全額をすぐ払う必要がありますか?

一括請求を受けても、分割払いを交渉できる場合があります。ただし、債権者が必ず応じるとは限りません。請求額、契約内容、保証人の収支、他の借金を確認した上で、任意整理、個人再生、自己破産を含めて検討します。

保証人が複数いれば自分は半分だけ払えばよいですか?

契約内容によります。通常の保証では分別の利益が問題になることがありますが、連帯保証人の場合は、各連帯保証人が全額について請求対象になることがあります。複数人いるから自分の負担が当然に半分になるとは限りません。

保証人が支払った分を本人へ請求できますか?

保証人が支払った場合、原則として本人へ求償できることがあります。ただし、本人が自己破産して免責を受けると、実際に回収できる範囲は破産手続での配当などに限られ、回収が難しくなることがあります。

保証人自身が自己破産したら主債務者にばれますか?

ばれる可能性があります。保証人が自己破産すると、債権者が主債務者へ連絡したり、保証人変更を求めたりすることがあります。契約内容や債権者の運用によるため、保証人自身が破産する場合も、主債務者への影響を事前に確認しましょう。

保証人が家族でなければ自己破産に影響しませんか?

家族かどうかではなく、保証契約があるかどうかが重要です。友人、知人、勤務先関係者、会社役員などが保証人でも、本人の自己破産により請求を受ける可能性があります。


まとめ

自己破産と保証人の問題では、まず「主債務者が自己破産する場合」と「保証人自身が自己破産する場合」を分けて考える必要があります。主債務者が自己破産しても、保証人・連帯保証人の支払義務は原則として残ります。特に連帯保証人は、残額全体の一括請求を受けることがあります。

保証人に迷惑をかけたくないからといって、保証人付きの借金だけを返済する、保証人へ資金を移す、債権者一覧表から外すといった行動は危険です。偏頗弁済、財産隠し、債権者漏れとして問題になるおそれがあります。

  • 本人の免責は、保証人・連帯保証人に当然には及びません。
  • 保証人への請求は、契約内容、期限の利益喪失、保証の範囲によって変わります。
  • 保証人付き債務だけを優先返済したり、債権者一覧から外したりしないようにしましょう。
  • 保証人が請求を受けた場合は、請求額・契約書・時効・分割交渉の余地を確認します。
  • 保証人自身が自己破産する場合も、保証債務を漏らさず申告しましょう。

坂尾陽弁護士

保証人がいる自己破産では、本人だけでなく保証人の生活にも影響が及びます。早い段階で契約書と残高を整理し、本人と保証人の双方にとって現実的な対応を検討しましょう。

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